長島昭久議員は、17日午後の衆議院テロ防止・イラク支援特別委員会で、海上における日本の国益を守るため今緊急に必要な政策は日本関係船舶の安全確保だという見解を示し、麻生首相らと議論した。
冒頭、(1)我が国の安全保障をどのように確保するか、(2)テロとの戦いにおける国際的連帯で我が国がどういう役割を果たすべきか、――以上2点の本質的な議論をしたいと表明、首相は極めて似た問題関心を持っているとした。
長島議員は続いて、まったく同じ法律の延長で政府は質疑を行っているが、この1年の国際環境の変化をふまえて考える必要があると指摘。(1)イラク情勢の安定化、(2)アフガニスタン情勢の深刻化、(3)米国の政権交代、(4)海賊の脅威急増を挙げて「アフガニスタンの陸上における本格的な支援協力を考える時期に来ている」と語った。
また、ソマリア沖アデン湾の海賊脅威の拡大に言及して「1年間に起こった新しい現実を踏まえて、新しい法律案も含めて議論しなくてはならない」と対策の必要性を提起、民主党案提出者の見解を質した。提出者である浅尾議員は28条に規定していると答弁し、海上警備行動発令の法的枠組みを早急に検討する必要があるとした。首相は「海上警備行動としては極めて有意義だ」として、海賊被害対策として建設的な議論を進めることに前向きな姿勢を示した。
長島議員は、海賊対策に関する国連決議について、共同提案国である日本の対応を中曽根外務大臣、浜田防衛大臣と議論。P3C哨戒機による警戒監視などの海上阻止活動は現行法のもとでも可能であるとして実効的な対策を求めた。海上警備行動の発令における地理的制約を問われた浜田防衛相は「任務達成に必要な限度において公海に及ぶ」と答弁。長島議員は「日本関係船舶が実際に海賊に襲われる事例が頻発する場合、当該海域を危険として海上警備行動を発令することは可能か」と質し、「ソマリア沖の海域が必ずしも排除されているものではない」とした。
長島議員は、武力行使を目的とせずに派遣された海上自衛隊の護衛艦が船舶をエスコートすることについて海賊襲撃の抑止効果があるという見解を示し、国連決議の存在や欧州諸国の本気の取り組み例を挙げて「いつまでもただ乗りのそしりをうけるわけにはいかない」と主張した。
政府案の燃料の無償提供については「間接的な協力貢献」、政府の進める沿岸国の能力強化については「中長期的課題」との認識を示し、直接的に日本関係船舶を自衛隊によりエスコートし、安全確保するための政策の立案が今緊急に必要で、海上における日本の国益を守るとした。麻生首相は「こういった提案をいただけるのはいいことだ。検討する」とした。
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