衆議院テロ防止・イラク支援特別委員会で20日、民主党・新緑風会・日本が提出し、参議院で可決された、いわゆるテロ根絶法案について賛成、政府提出の補給支援特措法改正案については反対の立場から、民主党・無所属クラブを代表して渡辺周議員が討論を行った。
渡辺議員はまず、第168回臨時会において政府提出の補給支援特措法案を審査した際、民主党がまず、旧テロ特措法に基づいて自衛隊が行ってきた6年間の活動の検証が不可欠であるとの考えを示し、政府に対し給油活動の詳細情報の公開を求めたが、政府の資料開示は甚だ不十分であったと指摘。そのうえで「真実を隠ぺいしている疑惑は払拭できない」と改めて問題視した。
また、油の転用問題についても、自衛艦が給油した米艦船がイラク作戦に参加することはないと政府は当初説明していたが、その後、不朽の自由作戦に従事していれば他の任務を行っても問題はないとの答弁に変更した点にも渡辺議員はふれ、「テロ対策特措法違反が行われていた疑惑が一層深まったため、失効したテロ対策特措法に基づく補給支援活動と同じ活動を継続する補給支援特措法案にも反対した」と改めて語った。
そのうえで、「アメリカ国防総省が説明したように米艦船が複数の任務に就くこともある以上、今後も転用が続くとの懸念が残ったままだ」とも指摘。同委員会の質疑においても「海上自衛隊が補給する対象艦は、テロ対策海上阻止活動の任務を負っていれば、他の任務を負っていても構わない」との政府答弁が行われたことにも言及。同時に、1年毎に延長される際に国会で審議することによって国会による文民統制が維持されると政府が強弁している点についても、どの艦船に海上自衛隊が補給したかの情報提供を拒否する姿勢を政府が貫いている以上、文民統制が維持されるとはいえないとの認識を明示。「補給支援特措法は直ちに廃止すべきである」と強い口調で表明した。
一方で、民主党案に関しては、アフガニスタンにおけるテロを根絶していきたいという強い思いに基づき、そのために何が必要かという観点から提出したものであると説明。「インド洋での給油を含め、OEFによる武力攻撃は、テロの根絶に直接的にはつながらない、テロの根絶のために必要なことは、アフガニスタン国内での和平努力と国家の再建支援、そして人道復興支援である」と改めて強く訴えた。「油よりも水を」「銃をスコップに」をコンセプトとし、かんがい、インフラの整備に重点を置いた内容となっているとも説明し、「民主党案は、真のアフガニスタンにおけるテロ撲滅にとって最高、最良の案である」と強く表明し、討論を締めくくった。
討論後、両案は採決され、民主党提出のテロ根絶法案は否決され、政府提出の補給支援特措法改正案は可決された。
それに先立ち行われた質疑では、平岡秀夫、山口壯、川内博史各議員が、質問に立ち、これまでの活動の検証もないまま成立を目指す政府案の問題点等を改めて追及した。
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