民主党決算・行政監視調査会(会長:武正公一『次の内閣』ネクスト外務副大臣)は21日午前、国会内で会議を開き、地方自治体が未消化予算をプールしていた件について、会計検査院および総務省からヒアリングした。
冒頭、武正会長からは、今回発覚した補助金の不正経理を正すことは、補助金を一括交付することでムダをなくすとする民主党の考えと符合しているとの認識を指摘。縦割り行政の見直しなど、国と地方を横並びで正していく必要性を強調した。
会議でははじめ、総務省から調査対象となっている12道府県の個々の案件に関してマスコミ等へ公表されている報道資料以上のものはなく、現在客観的事実の把握に努めているとの現状報告があり、今後の対応としては公費の扱いに関し、法令に則るよう改めて通知する考えが示された。
会計検査院はまず、平成19年度の都道府県における不適正な経理処理に係る国庫補助金等の状況については現在調査中であると説明。報道が先行したことについては「正直戸惑っており、遺憾なこと」とコメントした。また、今回の報道は概ね否定するものではないが、カラ出張、カラ雇用などの実態はないと一部内容を訂正した。
そのうえで会議は、平成19年度分は現在とりまとめ中であるため、昨年実施された平成18年度の決算結果報告をベースに説明が行われた。不正経理の捻出方法については、架空の物品調達により一定額を納入業者へ支払い、その公金を納入業者に管理させる「預け」が行われ、また、各課が会計課を通さず直接調達できるよう小分けして書き換えて請求書と異なる物品を納入させる「書き換え」などが行われていたと例示した。不正経理の背景としては、自治体側の公金意識の希薄さを指摘したうえで、年度内の予算消化、事務の簡素化を図ったのではないかと分析、物品納入時に確認を怠った検品システムの不備も併せて挙げた。
その後の質疑応答で出席議員らは、不正を行ったとされる地方自治体の現場のみならず補助金を交付している霞が関の事業官庁について調査すべきであると指摘、霞が関からの補助金使いきりの指示、返還を受け付けないシステムなど、補助金の在り方を見直す必要があると主張した。また、厳格化することで補助金の自由度が制限されるなど地方分権に逆行するようなことがないよう強い姿勢で臨むよう提言。総務省に対しては改めて自治体に対する指導を徹底するよう求めた。
これに対して会計検査院側は、補助金に関して事業の必要性に着眼しているため、現時点では事業官庁の関与については調査していないと回答、今後は交付する側の課題として検討するとした。
また、全国各地で行われている内部調査の結果については、調査方法が統一でないことを指摘、今後、全国的調査も視野に引続き検査していく考えを示した。そのほか、補助金が特に多いとされる農林水産省、国土交通省については、11月頃を目途とする最終報告を受けて改めて説明を行うとした。
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