民主党『次の内閣』
ネクスト厚生労働大臣 山田 正彦
今月4日に東京都内で脳内出血を起こした妊婦が8ヶ所の医療機関に受け入れを拒否された後、ようやく病院に収容されて出産したが3日後に亡くなるという痛ましい事件が明らかになった。2006年8月に奈良県で分娩中に意識を失った妊婦が19ヶ所もの病院をたらい回しにされ、搬送先の病院で亡くなった事件は記憶に新しいが、その事件を教訓とせず、同じことが繰り返されたことに強い憤りを覚える。
最初に受け入れを要請した都立墨東病院は、総合周産期母子医療センターに指定されているにもかかわらず、「医師不足で土日は基本的には母体搬送を受け入れていない」との理由で一度は受け入れを拒否した。出産に臨む母子が「最後の砦」として頼る総合センターにおいてさえ、複数当直体制を組むに足りる医師を確保できなかった東京都の責任は重い。
受け入れを拒否した医療機関のうち3ヶ所は、周産期医療情報ネットワーク上で母子を受入れ可能と表示されていたが、実際には新生児集中治療室等が満床で受け入れを断っており、情報がリアルタイムで更新されていなかったために照会システムは機能を果たさなかった。また、患者の症状が医療機関側に正確に伝わっていたのか、病院で産科医と救急医の連携が取れていたのか疑問が残る。救急搬送に対応できない背景には深刻な医師不足があり、勤務医の過酷な勤務実態がそれに拍車をかけて悪循環が続いている。
政府与党は、2年前に医療費削減を目的とする医療制度改革関連法案を民主党の強い反対にもかかわらず強行採決で成立させた上、毎年2200億円の社会保障費抑制を続け、医療を崩壊させてきた。緊急医療体制をめぐる構造的な問題は以前から指摘されていたが、国は自治体任せで、予算・人材の積極的な投入を行って来なかった。今回の不幸な事案も人命軽視の政治がもたらした人災であると言わざるを得ない。こうした事態を二度と繰り返さないために、厚生労働委員会を早期に開催し、今回の事案の原因と再発防止策について徹底審議を求める。
以上
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