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2008/11/18
【衆院本会議】下条議員、日本によるIMFへの10兆円融資の根拠を質す
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 衆議院本会議で18日午後、金融・世界経済に関する首脳会合(金融サミット)に関する麻生首相の報告を受け、民主党・無所属クラブを代表して下条みつ議員が質問に立った。

 下条議員はまず、世界金融危機の原因と責任の所在について質問。サブプライムローンの焦げ付きに端を発した巨額の不良債権が、細かく切り分けられた証券化商品のどこに入っているかわからない状況となり、米国政府もチェックしきれなかったと指摘し、「自由な市場経済がモラルハザードを引き起こすまで、アメリカ政府が放置した結果だ」と断じた。

 麻生首相は、証券化商品に代表される新しいビジネスモデルが拡大していくなかで、市場参加者がそのリスクを適切に管理できず、金融市場が深刻な混乱に陥ったものと答弁。いくつかの先進国では、規制当局も金融技術革新の速度についていけず混乱が一層深まったと述べるに留まり、米国政府の姿勢への具体的な言及はなかった。

 次に、首相が表明したIMFへの1000億ドル(日本円で約10兆円)の融資に関して、「原因と責任の大部分がアメリカにある金融危機に対して、なぜ、今日本が約10兆円もの巨額の融資を、IMFに対してしなければならないのか」と問題提起。日本の外貨準備高の約10%に相当する約10兆円も融資する根拠は何かを質した。麻生首相は日本による融資の表明によって、十分な財源をIMFが有しているという信頼感を高め、金融市場の混乱に対する新興市場国の抵抗力を強めることになり、国際市場の安定に大きく貢献するものだなどと答弁した。

 下条議員はまた、金融サミット参加20カ国中、まだどこも増資への賛同表明がない点を明らかにするとともに、IMF加盟180カ国から追加の増資がなされなかった場合、日本の融資10兆円がいつどこから返済されるのか、どこまで合意を得ているのか質した。これに対して麻生首相は、中小国・新興国からIMFへの返済を原資とするので増資とは関係ないと強弁した。

 同時に、融資条件がきびしく設定されていたこれまでのIMFの緊急支援融資と比べ、日本が融資する10兆円は、非常にあいまいな条件、ゆるい審査で新興国・中小国へ貸し付けられて行く結果になりかねない点も、下条議員は疑問を呈した。

 下条議員はさらに、各国政府の債務残高を列挙して日本は先進7カ国中最悪の水準であることを指摘。同時に10万人あたりの日本の自殺率が世界のなかでワースト9位であること、株価の下落率が先進国7カ国中最下位であること等を取り上げ、「IMFに10兆円出せるのなら、日本は日本の内情とその分に相応して対応すべきであり、国内の困っている人を救うことが先」と強調。民主党が従来から指摘している2兆円でできる公立小中学校の耐震補強工事、約1兆9000億円でできる医師不足で困る全国自治体の病院の累積赤字の補てん、約1500億円ですむ未就学児の医療保険の自己負担無料化、1兆1000億円でできる低所得者への基礎年金の公費支給、1兆4000億円で実現する民主党が掲げる農業者戸別所得補償制度など、優先すべき政策を列挙した。

 下条議員は、10月30日の会見で首相自らが発言したように「ポイントはスピード、迅速に」だとしたうえで、第二次補正予算案の提出時期を質問。会期を延長してでも、速やかに2次補正を提出し、一刻でも早く、国民生活を救うべきだと強く求めたが、首相は「作業を急がせている。延長については検討している」とあいまいな答弁に留まった。

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