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2000/11/10
<あっせん利得処罰法採決>与党案はザルどころか「底抜け」法案〜長浜議員が本会議討論で喝破
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政治家が公務員に口利きした見返りに報酬を受けることを罰する、いわゆる「あっせん利得処罰法」が10日、衆院本会議で採決され、民主党など野党4党が共同提出した法案は賛成少数で否決され、与党案が賛成多数で可決された。

 与党案は私設秘書を処罰対象に入れておらず、処罰されるあっせん行為を「契約」と「行政処分」に限定。「請託」を犯罪の構成要件とし、「権限に基づく影響力行使」を前提とするなど、政治活動が制約されないようにと適用要件を限定している。そのため、民主党など野党は与党案を「ザル法」と批判し、衆院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会の審議で厳しく質していた。

 この日の本会議では、採決に先立ち、野党4会派を代表して、民主党・無所属クラブの長浜博行衆議院議員が、野党提出案に賛成し、与党案へ反対する討論を行った。

 長浜議員は、「政界の一部には、あっせんは政治家本来の仕事であり、その見返りに金品等を受け取ってもいいという誤った風潮がある。これを断ち切り、いわゆる口利き政治と決別し、政治倫理を確立することが国民から強く求められている」とした上で、「与党の穴だらけのザル法では政治腐敗の防止に実効性がない」として、議論を展開した。

 まず与党案が「請託」を要件としたことについて、長浜議員は「現実には密室で行われるこの請託を立証することは極めて困難で、結果としてほとんど適用されていない」と指摘し、与党があえてこの要件を残したことを、「適用しづらい現行法の問題点を何ら改革しないもの」と断じた。

 次に与党案が対象となる行為を“契約の締結、行政処分”に限定している事に対しては、「調査や企画立案などの政策決定過程への関与は対象外となり、特定者の利益擁護のための箇所付けや税制改正、法改正等をあっせんし報酬を得ても対象外となる」として、国民の期待に応えていないと批判。

 さらに、長浜議員は、与党案が「犯罪の主体」から「私設秘書」を除いていることを強く問題視。「秘書の業務は公設、私設で明確に区分できないし、ましてや、私設秘書が担当する業務の比重は高い。また、有力政治家のいわゆる『金庫番』の多くは私設秘書」として、私設秘書を外したことは、あえて「抜け道」をつくったものだと論破した。

 また、与党案が、親族など第三者を経由して利益を得る「第三者供与」の処罰を明記していないこと、未遂罪を規定していないこと、報酬の範囲を「財産上の利益」に絞っていることにふれ、長浜議員は「与党案はこの新法をできうる限り甘いものとしようとしている姿勢、骨抜きの法案にしようという本心がありありだ」と述べ、野党案こそがそれらの抜け道をすべてふさいだ厳しい内容であり、「国民・世論の声を背に、自らを律し、政治に信頼を再生させる決意にあふれている」と強調した。

 さらに、長浜議員は与党議員席を一瞥し、「野党案が制定されれば、(与党議員)各位の政治活動が立ち行かなくなるというのか。これまでの政治活動では野党案に抵触するもの、つまり『口利き政治』で賄賂を得ている実態がそれほどまでに蔓延しているのか。一体何を恐れているのか」と挑発した。

 最後に長浜議員は、「あらためて与党案をみれば、一体どこが厳しくなったのか、何のためにわざわざ特別委員会で議論を続けたのか、との素朴な疑問が生じる。与党の法案はザルですらない、金権腐敗体質を温存し続けるまさに底抜け法案である」と喝破し、「政治不信の元凶を払拭できる、国民が期待し望んでいるものは、わが野党案にあることははっきりした」と主張して、討論を終えた。

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