19日、参議院予算委員会において来年度予算に関する公聴会が行われ、公述人として専修大学教授の正村公宏氏らを招いて質疑が交わされた。
正村教授は冒頭の陳述で、予算および経済政策を考える場合の基本的な視点について3点にわたって述べた。まず第1は、今日の経済危機の原因および本質について考える必要があること。すなわち、生活条件の整備を省みずに所得・消費の拡大を追い求めた70〜80年代の経済運営を根本的に反省すべきことを主張。
また第2に、不況の本質は需要不足であり、景気回復か構造改革か、という二者択一的発想は誤っていること。第3に、国民が将来への確信を持てるような新しい社会ビジョンを政府が示すべきことを訴えた。
質疑では、民主党・新緑風会から若林秀樹議員が質問に立ち、まず人口減少が経済に与える影響について質した。正村教授は、以前は人口が減ると労働力が不足するという議論が良くなされたが、実際には需要減から失業が大幅に増える場合さえあり得ると指摘。子供が減りすぎない程度に増えていくよう、子育てと仕事が両立するような環境づくりに力を入れるべきだとした。
また、若林議員が国債発行30兆円枠の是非について質したのに対し、正村教授は「政治的パフォーマンスとしてはわかるが、経済政策ではまったくない」と一刀両断にした。
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