参議院本会議で26日、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して藤末健三議員が質問に立ち、「平成十九年度決算検査報告」について麻生首相はじめ関係大臣に答弁を求めた。冒頭、麻生首相の六つのぶれ、迷走発言について質問すると宣言した藤末議員は、(1)第2次補正予算案および関連法案の年内提出、(2)消費税増税、(3)定額給付金、(4)一兆円の地方交付税、(5)郵政の株式売却、(6)地方機関の統廃合を列挙し、首相に対し明確な答弁を行うよう強く求めた。
まず一つ目のぶれである「第2次補正予算案提出」について質問。10月30日に「政府の追加景気対策」の発表時に「年末にかけて、中小企業の資金繰りは苦しくなる。第一次補正で、緊急信用保証枠を6兆円としたが、中小企業、小規模企業の資金繰りをより万全なものとするために、私の指示で20兆円まで拡大する」と述べたと藤末議員は説明。二次補正が年内に必要と発言しながら、昨日27日には「これで足りるはず。問題は年度末。年末と違う」と発言した点を指摘し、発言が変わった根拠を明確に示すよう迫った。
これに対して麻生首相は、中小企業の資金繰り対策は借り手側、貸し手側に分けて考える必要があるなどとしたうえで、「年末は借り手側対策として一次補正で用意した信用保証6兆円、セーフティネット貸付3兆円の合計9兆円で対応したい。他方、貸し手側対策は参議院で審議している金融機能強化法の早急な成立が必要」などと逃げの答弁を行った。
また、新聞報道によると財務省幹部が「2次補正を今国会中に出せと言われれば、出せる」としている点を取り上げ、にもかかわらず、麻生首相が第2次補正予算については「年明け早々に提出するのが適正」と発言した点を藤末議員は問題視。さらに小沢代表は17日の党首討論の際に、「常識的な予算案が提出されれば審議をし、国会としての結論を得ることを代表の責任を持って約束する」と発言していることも改めて説明し、「総理が国民に約束した二次補正予算を何故提出しないのか」と指摘し、今国会での提出を強く求めた。
第二のぶれとして「消費税増税」に関して、追加景気対策を発表した10月30日には、首相が「3年後に消費税の引き上げを」と言及しながら、11月5日の衆議院財務金融委員会では「少なくとも全治3年と申し上げたが、状況はかなり厳しい」と発言を変更した点に取り上げた。どちらが本心かと答弁を迫るとともに、定額給付金を配っても消費税増税が先にあるとなると、給付金は貯蓄に回り、消費増には繋がらないと指摘した。
第三には定額給付金について、景気対策か、生活対策か、それとも「選挙対策」か明確でないと藤末議員は指摘。また、9年前の定額給付金「地域振興券」を例に、経済効果がばらまかれた金額の32%とする経済企画庁の分析をふまえ、「つまり今回2兆円をばらまいても経済効果は6000億円程度、経済をわずか0・1%底上げするに過ぎない」と断じた。同時に、定額給付金の所得制限や給付方法について地方に丸投げした首相の政治姿勢について、「国の政策である以上、国がすべて責任を持つべき」と迫った。
第四には、「道路特定財源の一般財源化に際しては、一兆円を地方に移す」とした10月30日の発言を藤末議員は取り上げた。その後、首相は11月19日に「交付金は何でも使えそうに見えるけど、うそだから。地方が使いやすい交付税として一兆円と僕は言った」と述べ、翌20日には「自由に使えるなら何でもいい。今だって交付金と書いてある」と発言が後退した。その1兆円は、従来の地方道路整備臨時交付金約7000億円と別枠なのか、それとも合計で一兆円なのか、その予算は「交付金」なのか「交付税」なのか、明確な答弁を求めた。
第五には11月19日に「高くなってから売るのが当たり前、凍結したほうがいい」と明言しながら、翌日に「今一番安くなっているのに何で売るのという話をしただけ」と発言が変更した「日本郵政株式会社の株式売却」に関しても質問。また、最後の第六の迷走としては11月6日に国土交通省地方整備局8局と農林水産省地方農政局7局の統廃合・地方移管を地方分権改革推進委員会委員長に「廃止する方向で進めてほしい」と指示しながら、すぐまた「統廃合と指示した」と発言がぶれた「地方機関の統廃合」についても取り上げた。
藤末議員は「我々民主党の景気対策は一時しのぎの『選挙対策』ではない」と明言。政府支出が一般会計と特別会計を合わせて年間212兆円あることを改めて説明し、「この212兆円から無駄使いを無くし『医療・介護・子育てなどの福祉、また教育、雇用といった生活に予算を手当てする』のが民主党の景気対策だ」と語るとともに、「百年に一度の危機であるからこそ、たらいまわしの政権ではなく選挙で国民の信任を得た政権でなければ、この危機に対応することができない」として、一日も早い解散・総選挙を首相に求めた。しかし、麻生首相は「解散の時期はいろいろな要素を含めて判断する」とする従来通りの回答を示すに留まった。
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