小沢一郎代表と麻生首相との初めての党首討論が、28日午後、衆院で行われた。
小沢代表は、第2次補正予算案をこの国会の提出しないのであれば、12月に十分に解散・総選挙はできるとして衆院の解散に踏み切るよう求めた。首相は、「政局より景気」として、解散には触れず、第2次補正予算案と本予算案を1月早々の通常国会に提出するとの従来の考えを繰り返した。
また、小沢代表は、麻生首相の言葉の軽さに触れ、「綸言汗の如し」(=天子の言葉は、汗が体内に戻らないように、一度口から出れば取り消すことができないとの意)とする「礼記」の言葉を引き、最高権力者としての自覚のもと、一度言葉を発した第2次補正予算案を提出するとの国民との約束を果たすよう強く求めた。
主なやり取りの要旨は以下の通り。
●第2次補正予算
小沢代表 代表に就任してから3人目の総理に就任のお祝いを申し上げることになった。このままでは4回目になりかねないと心配している。そうならないために二つの方法がある。10月30日に発表し、第2次補正予算案を提案するとの発言。予算案をこの国会に提出しないのは国民に対する背信行為。今からでも遅くない。可及的速やかに提出することが内閣として筋道。総選挙も先送りして第2次補正予算案を出すとしていたのに、なぜこの国会に出さないのか。
麻生首相 党首討論を受けていただき感謝する。年末に向けて1次補正が通っているので、中小企業、小企業対策は順調。貸出枠は1日1000億円だが、このまま推移してもこれで対応できる。貸し手の側の貸し渋り、貸しはがしなどの問題への対処のため金融機能強化法改正案の早期の成立へ、小沢党首の力添えを。2次補正は減額補正も含め見極めが必要。景気対策上からは21年度の本予算が一番肝心。第1次、第2次、本予算の3段ロケットで対処。1月早々に国会を開催させていただき、国民の皆さんに安心をもっていただくために、本予算も一緒にというのが、第2次補正予算案をこの国会に出さない背景。
代表 今の話は第1次で大丈夫というのが結論。第1次の審議前に第2次の話が出ていた。十分でないと判断したからこそ、2次予算で信用枠を30兆円まで拡大、例の2兆円の給付金等々との話だった。筋道が通らない。
首相 この2日間は1000億円、それまでは毎日100億円台で対応できる。金融機能強化法改正案の成立でリーダーシップを。
代表 金融機能強化法改正案では我々の主張もあるので、参院でも自民党に修正協議に応じるよう総裁からも指示を。年末を乗り越えられるとの認識だが、倒産件数は10月で10、4%増。非正規雇用の雇用打ち切り、さらに正社員の首切りもという状況。倒産が増えるから信用枠の拡大と言ったのでしょう?どうしてこの国会に出さないのか。
首相 金融機能強化法改正案が成立しないならさらに増やさなければならない。本予算と一緒に出すのが正しい。
代表 補正を出し、国民生活の安定を図るのが筋道。厳しい年末を迎えることになる。
●解散
代表 4人目にならないもう一つの方法。初心に返り衆院を解散し、主権者の審判を仰ぐこと。審判を受け、リーダーシップを発揮するのが民主主義。第2次補正予算案を来年に送るのなら、直ちに解散し、12月に十分に選挙ができる。解散・総選挙を断行し国民の支持を得られたらどうか。
首相 解散は一つの手段と当初思っていた。議会制民主主義のルールに合わせて(首相を)やらせていただいている。本予算でも幹事長、政調会長、私ども大臣とネクストキャビネットとの協議、いろいろな協議ができることが国民の期待しているところ。代表として指導力を発揮してほしい。
代表 2年半で3人も責任者が代わり、選挙もしないのは聞いたことがない。選挙で支持を得るほうが総理もやりやすいでしょう。強力な内閣ができるのだから。国民の支持を背景にしなければ、政策の実行はできないと申し上げている。
●首相の言葉の軽さ
代表 「綸言汗の如し」という言葉も昔からあるように発言に責任をもって職務をしてもらいたい。
首相 誤解を与えたことを私どももお詫びし、職務を全うする。今後もこういう機会を与えていただき、建設的な議論をお願いする。
代表 国民に対して約束したのだから、それを実行しないといけない。最高権力者ですから、国民と約束したことは守るという態度をとってほしい。
首相 党首討論をできたことに重ねて感謝申し上げる。
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