菅直人代表代行は、5日午後衆院予算委員会の集中審議で質問に立ち、雇用確保など緊急を要する政策実現の妨害となっているとして、麻生内閣の退陣を要求した。
菅代表代行は、解散して国民の信を問うこともなく、第2次補正予算案の提出も先送りする麻生内閣への支持率が急落していることをまず指摘。そのうえで、トヨタ、キヤノンなど大企業で期間労働者、派遣労働者切りが進んでいる現況を深刻に捉えるならば、直ちに、生活対策として10月30日に発表したもののうち、雇用に関するものだけでも第2次補正予算案として提出すべきだと主張した。
これに対して麻生首相は、「1次補正予算で順調に推移している。2次、本予算と上げていくのが景気対策」として、第2次補正予算案を今国会に提出しない方針を改めて述べ、年末は乗り越えられるとの甘い認識を示した。
菅代表代行は、「大量解雇、大量失業が始まっているではないか。雇用対策関連の法案を1本も出さない。これは、政治空白ではなく、妨害、サボタージュだ。政策実現を妨害している」と詰問した。
首相は、「何もしていないことはない」としただけで、具体的な政策には触れなかった。
菅代表代行は、派遣労働者の途中解約を許さないこと、雇用と住宅の両面から支援することなどを柱とした、民主党がまとめた雇用対策を説明。そのうえで、かつて景気が悪くなったときの政策として、高齢者への割増し退職金支払いによる人件費の抑制や、失業対策事業もあったことを指摘し、「介護、リサイクル、産業廃棄物の処理など、ある意味での新しい失業対策事業、仕事そのものを提供してはどうか」と提案した。舛添厚生労働大臣は、「大筋、賛成」と答えた。
さらに、菅代表代行は、基礎年金の国庫負担率を3分の1から2分の1へ引き上げる時期に関して、首相の発言がぶれていることを取り上げ、来年4月1日から実施するのかを質した。
首相は、同じことを言っている、ぶれはないとして、マスコミ報道が問題だとして責任を転嫁し、明言を避けた。中川財務大臣も「年末までに方向を決めたい」とするに留まった。
|