10日午後の参議院予算委員会で、中村哲治議員は、年金記録問題への政府の対応などを取り上げ、「政権を変えないと、抜本的な解決策はない」として衆院の解散・総選挙を求めた。
中村議員は冒頭、厚生年金の標準報酬月額改ざんに社会保険庁が組織ぐるみで関与したと第三者による厚生労働省の調査委員会が認めたことに関し、企画立案する責任のあった厚労省がそれを認めようとしないと指摘した。また、社会保険料を滞納している事業者から強制的に徴収をすれば倒産してしまう可能性を示し、その「社会保険倒産」を防ぐためにも対策が必要と主張。
国民年金と違って厚生年金には免除の制度がないことにも触れつつ、政府系金融機関からの緊急融資や支払い猶予の期間の設置、年間14%の滞納金利を下げたうえでの分割納付の提案など、中小企業を支援する観点から制度を検討するよう求めた。舛添厚労相は措置を検討する考えを示したが、できるだけ速やかに行うと期間を区切った答弁は行わなかった。中村議員は、滞納事業者数の増加に関するデータを示し「危機感がないと言わざるを得ない」と述べた。
中村議員はまた、年金記録の回復から正しい年金の支給までに平均2年を要することを挙げ、短縮策を質した。舛添厚労相は310人体制で臨み、全力を挙げるとしたが、仮払金の支給に関する中村議員の提案については、検討したが細かい手作業や過払いの問題があったとして否定的な考えを示した。
中村議員はこれに対し、民主党が年金記録回復促進法案の提出を準備していると表明。「政権を変えないと、抜本的な解決策はないとはっきりわかった。いつまでも解決策を提示できない政権では、国民は不幸だ」として衆院を解散して民意を問うよう求めた。麻生首相は「参院の方から衆院解散を言われると、少し違うという気持ちがある」などと答え、解散より政策だと強調した。
中村議員はさらに、予防医療に関する首相の発言や今後の社会保障に関する見解を質問。人口ピラミッドの推移を示し、世代間だけではなく世代内の助け合いが必要になると指摘し、介護をする側でありたいと願ってもかなわない方がいるとして、首相発言の配慮のなさを挙げると共に、政治家として、予防につなげる仕組みを政策として作るべきだと考えを語った。
社会保障費の削減に関する政府の意思決定の遅さについては「社会保障は、安全保障と共に、国家の土台となる。社会保障の危機は国家の危機だ」と表明、その基本的認識を欠く首相は辞めた方がよいとしたが、麻生首相は「まったく見解を異にする」と答えるのみだった。このほか、自公連立政権の9年について政教分離の観点から評価が必要であるとして矢野氏と福本氏の参考人招致と「政治と宗教」に関する集中審議を行うよう求め、質問を終えた。
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