文民統制の在り方とテロ対策海上阻止行動への補給支援活動特措法の改正案に対する締めくくり総括質疑が、11日参院外交防衛委員会で行われ、民主党・新緑風会・国民新・日本から犬塚直史、白眞勲、谷岡郁子、浅尾慶一郎の各議員が政府の考えを追及した。
河村官房長官、中曽根外務大臣、浜田防衛大臣、橋本外務副大臣らは不誠実な答弁や、答弁の読み違えなどを繰り返し、北澤委員長が注意したり、理事間協議などが行われた。ここでも麻生内閣が崩壊寸前、機能不全であることが明らかになった。
犬塚議員は、田母神前航空幕僚長の一連の発言(大東亜戦争はアメリカの罠、タイ、インド、シンガポールなどでは戦った日本の評価は高い)を取り上げ、認識を質した。河村官房長官、浜田防衛相も、村山談話が政府の見解であるとしたものの、自らの認識はコメントすべきではないとの答弁に終始した。さらに、この発言は政治的発言と思うかとの犬塚議員の質問にも、自衛隊法61条(政治的行為の制限)には当たらないとした。これを受けて犬塚議員は、それなら処罰、降格した根拠は何かと詰問した。防衛相は「品位とかいろいろある」と法治国家の大臣とは思えない答弁を繰り返した。このため、犬塚議員は「そのような答弁では問責に値する」とした。
白議員は、北朝鮮問題を取り上げ、政府を追及した。まず、北朝鮮の大使と連絡が取れないのは事実かと質した。政府参考人は、質問には答えず、大使とのやり取りの詳細は控えると答弁した。何回かのやり取りの後、連絡が取れないことを認めた。さらに、北朝鮮をテロ支援国家として指定した経緯を質し、大韓航空機爆破事件、よど号ハイジャック事件の犯人受け入れ、ラングーンの爆破事件であったことを確認。そのうえで、アメリカにテロ支援国家指定を解除しないよう強く求めるべきではなかったか、と主張した。また、自衛隊のEUでの活動に関して協議等の報道に触れ、事実かどうかを質した。橋本外務副大臣は、質問には答えず、海賊対策で何ができるかを協議中と答えた。
谷岡議員は、田母神論文は文民統制の重要な問題だとして、まず、第2次世界大戦前の日本にシビリアンコントロールがあったのかを質した。河村官房長官は質問に答えず、村山談話などを継承すると答弁、委員長の注意を受けたのち、「コントロールできなかった」と答えた。谷岡議員は、田母神氏と同じように考え、現憲法体制の打破を唱える人物が空将の地位にあること、また、新しい歴史教科書をつくる会のメンバーやそれに近い考えの人物が自衛隊の勉強会の講師となって行っているカリキュラムの見直し、また、その影響をどれほどの自衛隊員が受けているかを調査、チェックするよう求めた。浜田防衛相は、チェックするのは士気に関わる、また、実際の自衛隊の任務に影響を与えていないとして、チェックしない方針と答弁。北澤委員長が、2.26事件の陸軍内の背景を説明、また、「実力部隊の行動が起きてからでは遅い」と指摘した。防衛相は「舌足らずだった」として、カリキュラムは変更すべきだとの認識を示した。谷岡議員は、調査結果の委員会への報告を求めた。
浅尾議員は、憲法9条とテロ対策、軍事行動、武力行使の関係を細かに質した。河村官房長官は、国または国に準ずる組織に対する行為で、自衛隊の航空機その他を使用する場合は、弾薬などの提供、飲食の提供、燃料の提供は9条が禁止する武力の行使にあたる可能性があると答えた。浅尾議員が、アフガニスタンでの自衛隊の行動に関して、国または国に準ずる組織が存在するのか、タリバンなどをどう認識しているのかを質した。河村官房長官は、アメリカから実際に自衛隊へのヘリによる空輸など協力要請があった時に判断するとして、タリバンが国または、国に準ずる組織かどうか判断していないと答えた。また、浅尾議員は、大東亜戦争、シナ事変などの用語が自衛隊の教科書で使用されていることに関して、政府が公式には使用しない用語であり、なぜ自衛隊の中で使用されているのかを質した。浜田防衛相は、「チェック、検討してみたい」と答えた。
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