菅直人代表代行は15日昼、都内の日本記者クラブで「官僚任せではない内閣の作り方」と題し、現在の政治情勢や政権交代が可能な二大政党政治による議会制民主主義の在り方、官僚主導から政治家主導の組閣の形について講演した。
はじめに菅代行は、現在の政治情勢について、「本来機能していなければならない重要な時でありながら、日本の政治が機能不全を起こしている。もっと言えば、日本の民主主義がシステム的に機能麻痺を起していることが原因である」と論評した。
その中で菅代行は、「米国は金融危機の中、大統領選でリーダーをオバマ氏に変え、新しい夢に向かって再スタートしている」とし、民主主義が活力を持って機能している証左であると述べる一方で、「日本においては自民党の中で総理大臣が変わるだけで、結果的に国民の期待を大きく裏切っている」と、民主主義の成熟度の違いを指摘。
その上で、菅代行は、「欧米諸国のように政権が行き詰まったら、野党に政権を変えていく二大政党制の形を日本の政治の中に作り上げることが必要である」との考えを語った。
続いて、菅代行は日本の政治の機能不全のもう一つの理由として、霞が関に政策立案を任せ切っている官僚内閣制のシステムにあると指摘。「政策立案では、官僚の利益となることが最優先で、国民にとってプラスになっても、官僚にとってマイナスになることは決して政策として作らない」と実態を説明。国会は立法府であり、三権分立の原則から内閣は国会から独立しているという間違った憲法解釈を押し付けられ、政策は官僚組織が作ることが当たり前であるという考え方の下、官僚組織にコントロールされていると述べた。
また菅代行は、内閣を作る日程についても、「総理大臣、政治の主導性がないまま、官僚に実権を握られて内閣が決まっている」と説明。「従来の慣例に縛られず、首班指名から組閣まで最低3日位かけて、総理が大臣、大臣が副大臣、政務官をしっかりと決めることが出来るかが非常に大事である」と持論を展開。
最後に、菅代行は、仮に民主党が政権を担当することになれば、官僚任せではなく、政治主導で大臣、副大臣、政務官を決め、しっかりとしたチーム体系の組閣を行うことを目指していくと抱負を語り、講演を締め括った。
講演後、参加者から麻生政権に対する今後の対応について質問があり、菅代行は、「麻生首相は年内中に2次補正、来年度本予算を閣議決定することができるのか」と疑問視。通常国会冒頭でのしっかりとした予算審議は困難との認識を示した。また菅代行は、2次補正が成立しない場合、「選挙管理内閣を作り、速やかに予算を成立させ、衆院を解散すべき」との考えから、「衆院の解散権を移譲することが前提とし、小沢代表を総理大臣にすることが条件である」との見解を明らかにした。
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