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2000/11/15
ずさんな輸入検査が明らかに=遺伝子組み替えコーン輸入問題を追及
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アメリカで回収、作付けが禁止された遺伝子組み換えコーン「スターリンク」(日本では未承認)が日本の市販食品から検出された問題について、15日午前、国会内で超党派の議員が集まり「スターリンク問題を考える議員と市民の会」が開催された。民主党からは石毛えい子、金田誠一、佐藤謙一郎、永田寿康各衆議院議員、岡崎トミ子参院議員らが呼びかけ人に名を連ねた。

 スターリンクは、欧州のバイオ技術の大手企業・アベンティス社が開発した殺虫性トウモロコシ。その遺伝子がつくり出す殺虫たんぱくは、耐熱性・酸・酵素にも強く、消化器系での分解能力が低く、アレルギーを引き起こす可能性が高いとされている。そのため、アメリカ環境保護局(EPA)では食品として認めておらず、日本では食品はもちろん、飼料としても認めていない。

 ところが、そのスターリンクが、今年9月にアメリカの消費者団体と環境保護団体が行った検査によって、ファーストフード店のタコスの皮から検出された。さらに他社のものからも見つかり、事態を重く見たEPAは、スターリンクの栽培許可の自主的取下げをアベンティス社に求め、10月からは栽培ができなくなった。

 一方、日本でも、市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」(以下キャンペーン)が今年4月に独自に行った飼料検査で、すでにスターリンクなど2種類の未承認作物混入が確認されていた。しかし、農水省は検出の事実を告げても全く対応せず、試料提供を申し出ても検査を行おうとすらしなかった。

 この日の会合では、キャンペーンの代表である天笠啓祐さんからの状況報告を受け、厚生省、農水省それぞれの担当官との質疑応答が行われた。

 参加した市民団体のメンバーは「アメリカが提示するサンプルでなく輸入されたトウモロコシを水際でチェックする日本独自の検査システムを確立すべき」と迫ったが、農水省の担当官は「きちんとした検査方法がまだ確立していない」と逃げのコメントを繰り返すだけだった。「検査がきちんとできる職員は東京の検査場で一人だけ」といったコメントも飛び出し、遺伝子組み換え作物について十分な検査を行わないまま、輸入許可に踏み切った現実が浮き彫りになった。会場には「アメリカの食糧植民地ではないか!」といった厳しい声も飛び交った。

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