参院厚生労働委員会で18日午後、民主党はじめ、社民、国民新の野党3党が提出した緊急雇用対策関連4法案が審議され、野党の賛成多数で可決された。
まず、提案者を代表して直嶋正行政策調査会長が、法案の趣旨を説明、「世界的な金融危機が我が国経済に甚大な影響を及ぼし、雇用をめぐる状況が急速に悪化している。すでに、企業による採用内定の取消し、派遣労働者の有期労働者の労働契約の中途解除や雇止めといった問題が発生している」として、速やかに法案を成立させることが必要と賛同を求めた。
民主党・新緑風会・国民新・日本から森ゆうこ議員が質問に立ち、緊急に成立が必要である根拠、政府の対策の違いを法案提出者に質した。
福山哲郎提出者(党政調会長代理)は、「政府は12月9日に雇用対策を発表したが、第2次補正予算案、来年度本予算案の関係がどうなっているのか。また、財源をどう確保するのか明らかになっていない。さらに、スピード、実効性に乏しい。内容が政府の対策と変わらないというのなら、ぜひ与党も賛同を。国民に政治の意思として、雇用対策の早急に取り組むことを示そう」と答えた。
次に、森議員は、採用内定取消し規制について、就職氷河期世代である吉川沙織提出者にその必要性を質した。吉川議員は、「採用内定は雇用・労働契約の成立とする最高裁の判例がある。しかし、このことがあまり知られていないために、今日の内定取消しがある。内定取消しは、社会人としてのスタートに立てないことになる」と法案の意義を説明した。
派遣労働者の解雇防止に関する法案の意義についても、森議員は説明を求めた。津田弥太郎提出者は、「雇用調整助成金の要件緩和を政府は省令で対応するとしているが、重要な問題であり法律とすべき。そのメッセージ性には雲泥の差がある」とした。
森議員はまた、有期労働契約遵守法案について、却って雇用機会が収縮するのではないかとの批判もあるとして、見解を質した。松野信夫提出者は、「雇用の期間の定めのない契約が原則、例外として期間の定めある契約が我々の基本。収縮が起きない仕組みを取り入れている」と答えた。
与党側は、手続きに瑕疵があること、会期末の法案提出はパフォーマンスであること、アルバイト、パートなどの募集ができなくなるのは、計画経済、社会主義であることなど、およそ的外れな非難に終始して質問を行った。これらに対しては福山提出者、津田提出者らが反論した。
岩本司委員長が質疑終局を確認したのち、採決に移り、与党の妨害を押し切り賛成多数で4法案は、可決された。
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