民主党はじめ社民、国民新の野党3党は19日午前、共同で「中小規模の事業者等に対する金融機関の信用の供与等について今次の金融危機に対応して緊急に講ぜられるべき措置に関する法律案」(中小企業に対する貸し渋り・貸しはがし防止法案)を参議院に提出した。
法案発議者の直嶋正行政調会長はじめ、福山哲郎政調会長代理、増子輝彦『次の内閣』ネクスト経済産業大臣、大塚耕平、尾立源幸、小林正夫各参院議員が揃って法案を提出し、会見した。
会見で直嶋政調会長は「現下の危機的な経済情勢に鑑み、中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしを防止するということで、急遽、3党で共同提案の形で法案を提出した」と表明。法案の目的については、「今の金融危機、経済危機の状況下で金融機関の金融仲介機能が十分に発揮できていない状況にある」と指摘。そうしたなか、特に中小企業に対する信用供与について早急に講ぜられる措置としてとりまとめたものであるとした。
内容としては、「中小企業の事業者に対して柔軟な対応を行う」ということで、金融危機に伴う引先の倒産等による資金繰りの悪化等を生じた中小企業に対して、債務の返済に支障が生じた場合、(1)当該貸付けに係る債務の返済期限の延長その他貸付けの条件の変更を行う、(2)当該金融機関が当該事業者の株式又は持分を取得することにより、当該貸付けに係る債務を消滅させる――こと等を定めている。
また、個人の住宅ローンに関しても、今回の金融危機に伴う勤務先の倒産や事業規模の縮小等による失業等によって債務の返済に支障が生じている場合は、(1)返済期限の延長、(2)貸付け条件の変更――等を行うこととした。
さらに、行政サイドに対しては、上記の案件に関してきちんとした対応がなされているかどうかを金融庁は金融検査において実施状況を点検しなければならないと規定した。
同時に、これらの措置について3カ月に1回、国会報告をすることとしたと直嶋政調会長は説明。「こうしたことを実行するうえで、金融機関の経営の安定についても行政当局は必要な財政上、または金融上の措置を講じる。これは先般、金融機能強化法が成立しているのでそれとも併せて対応可能であると思っている」と語った。
続けて「総理は先般の第一次補正時に成立した中小企業に対する信用保証枠で年内は対応できると言っているが、とても足りないというのが実態」とも直嶋政調会長は重ねて指摘。そうした認識をふまえ、別途、信用保証枠の拡大も提案していることを明らかにし、中小企業への融資を円滑に行うために、財政上の措置とあわせ、その融資の人的体制の整備も行うことも規定したと説明した。
「この法律は当面、1年と思っている」とも語った直嶋政調会長は、100年に一度と言われる金融経済危機に当たり、弾力的な対応も含めてしっかり対応していかないと日本経済は底が抜けてしまうという危機感に基づき、急遽提出に至ったと表明した。
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