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2008/12/24
民主党税制抜本改革アクションプログラム
−納税者の立場で「公平・透明・納得」の改革プロセスを築く−
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2008年12月24日

民主党税制抜本改革アクションプログラム
−納税者の立場で「公平・透明・納得」の改革プロセスを築く−

民主党税制調査会

 民主党は昨年の「民主党税制改革大綱(2007.12.26)」において、納税者の立場に立って税制のあり方を根本的に変える税制抜本改革に政権を担った暁には着手することを宣言した。この税制抜本改革は単に税制の中身にとどまるものではなく、税制を決めるプロセスにおいても実現されなければならない。
 これまでの自民党政権下における税制改正は、税制に関する法的な権限と責任を有するはずの総理大臣や財務大臣、総務大臣よりも強大な権限を、なんら法的な責任を負わない与党税制調査会が持ち、そこでの議論によって実質的な税制改正が決められてきた。
このような法的な責任を負わない機関が実質的な意思決定権を有するという“権力の二重構造”は自民党政治の象徴であり、民主党政権においてはこうした無責任・不透明な体制は根絶しなければならない。
したがって、国民生活に直接影響する税制についても、誰が、どのような内容の税制改正を、どのような手続きで決定するかという税制改正プロセスは、納税者である国民の目から見て、納得できるものにしなければならない。
 資本主義のあり方そのものが問われているといわれるほどの世界的な経済危機の中で、人口減少・超高齢社会という大きな社会構造の変化の真っ只中にあって、わが国が時代と社会情勢に適応した税制へと抜本改革を実現するためには、税制改革の内容だけでなく、それを実現するプロセスにおいても納税者の視点に立って「公平・透明・納得」のプロセスにする必要がある。それによって初めて抜本改革に対する国民の理解と協力、そして信頼が生まれ、それが抜本改革の実現につながるのである。
 民主党が政権を担った際には、昨年の大綱でとりまとめた税制抜本改革を、納税者の立場に立った「公平・透明・納得」のプロセスによって直ちに着手し、実行に移す。

1.民主党政権がめざす税制抜本改革のビジョン
(1)納税者の立場に立つ
「代表なくして課税なし」の言葉に象徴されるように、議会制度は税と共に発展してきたといっても過言ではない。つまり議会制民主主義における税のあり方は、あくまでも税を納める納税者の立場に立って決められるべきものである。しかし、これまでの政権下では、この根本がないがしろにされ、納税者よりもむしろ為政者の立場に立って税制が決められてきた。
 民主党政権では、税の根本に立ち戻り、納税者の立場で現在の税制を根本から作り直す。

(2)「公平・透明・納得」の三原則
 納税者の立場に立ってあるべき税制の姿を考えると、それは公平で仕組みが透明で分かりやすく、その仕組みに基づいて納税することについて、誰もが納得できるものでなければならない。
民主党政権では、税制抜本改革にあたり、納税者の立場に立って「公平・透明・納得」の三原則を掲げる。

(3)時代と社会の変化に適合する
 世界はグローバリゼーションの進展により、これまで各国税制の前提条件であった「国は納税者を囲い込むことができる」という状況が根本的に変化し、納税者である人や企業は、担税力の高い者ほど納税する場所さえ、自ら自由に決めることができるような状況が生まれている。
また、税と社会保障の一体化やグリーン税制改革、国際連帯税など、新しい税制改革の潮流も生まれている。
さらに、わが国は人口減少・超高齢社会というこれまで経験したことのない新しい社会へ突入している。税制抜本改革を行うに際しては、こうした時代や社会の変化をしっかりと認識しなければならない。
民主党政権では、新しい時代と社会に適合した新しい税制の仕組みを築く。

2.税制改正プロセスの抜本改革
(1)これまでの政権における税制改正プロセスの問題点
○ 与党税制調査会、政府税制調査会、経済財政諮問会議がバラバラの議論を行っており、責任の所在が曖昧である。
○ 与党税制調査会は、政策決定の過程が極めて不透明で、既得権益の温床となっている。
○ 政府税制調査会は、内閣総理大臣の諮問に対し答申を出すことが本来の仕事である。しかし、様々な有識者や業界団体の代表者等により構成されているため、答申は利害調整の結果の妥協の産物となりがちである。しかも、与党税制調査会を慮った答申が続いており、本来の機能を果たしているとは言えない。
○ 現下の厳しい財政状況の中で財政規律を堅持しつつ、メリハリの効いた予算編成を行うためには、歳入をまず見極め、その上で歳入に見合った歳出を決める「入るを量りて出ずるを制す」という考え方に立って予算編成を行うことを基本とすべきである。しかし、自民党政権はムダづかいや将来への負担先送りをするばかりで、歳入歳出ともに制することも量ることもできず、迷走している。

(2)民主党政権における税制改正プロセスの基本的考え方
○ 「公平・透明・納得」の改革プロセスを築く。
○ 責任の所在を明確化し、政治主導の政策決定を行う。
○ 政策決定の過程を透明化する。納税者の立場に立った税制議論を行い、既得権益を打破し、公平で国民が信頼し納得する税制を築く。
○ 「入るを量りて出ずるを制す」の考え方に立ち、まずは歳入予算を定め、それに対応した歳出予算を定めることを基本とする。
○ 無節操な歳出増大を防ぎ、財政規律を堅持して財政の持続可能性を維持する観点から、減税を行う場合はそれに見合った歳出削減若しくは減税措置の見直しを行うことを原則(Pay as you go原則)とする。
○ 国は国税中心に制度設計を行い、地方税は地方が独自に制度設計をできる仕組みに改める。

(3)具体的な税制改正プロセス
@政府部内における集約
○ 与党内の税制調査会は廃止し、財務大臣の下に新たな政治家をメンバーとする政府税制調査会を設置し、政治家が責任を持って税制改正作業及び決定を行う。
○ 現在、党内各部門の税制担当主査が各部門で行っている税制改正に関する意見集約を、新政権下では、各省庁に税制担当政務官を配置し、政務官が各省庁で税制改正に関する意見集約を行う。
○ 地方税については、地方6団体、総務大臣、および、新たな政府税制調査会が対等の立場で協議を行う。将来的には、地方6団体を核とし、地方自治体の主体的判断に委ねる仕組みとする。
○ 従来の政府税制調査会は廃止し、代わりに税制の専門家として中長期的視点から税制のあり方に関して助言を行う専門家委員会を新しい政府税制調査会の下に置く。
○ 「租税特別措置透明化法」に基づく情報も踏まえつつ、政府部内での税制改正に関する意見集約を秋までに行う。
○ 意見集約の過程は公開を原則とする。

A国会における審議
○ 衆参両院に税制を中心に社会保険料等も含めた歳入全般の議論を行う常任委員会として「歳入委員会」を新設する。
○ 衆参両院の次年度税制改正の議論に基づいて、政府は予算の編成を行う。

3.各税目における改革指針
 各税目について以下の改革指針に基づき、民主党政権の最初の任期中に順次具体的な制度設計を行い、速やかに実行していく。

(1)所得税・相続税
@所得税
 産業構造の変化、雇用の不安定化、これらに対する政府の無策から格差の拡大が進行している。加えて、国際金融危機などに端を発する急速な実体経済の悪化の中で、社会的弱者が一層厳しい状況に追い込まれ、格差は今後さらに拡大する可能性が大きい。特に、下への格差拡大を食い止めることが喫緊の課題である。

 これまでの所得税制において、格差拡大の是正のための所得再分配機能回復策として最高税率の引き上げによる累進性の強化が必要と言われてきた。しかし、担税力の高い者ほど納税する場所を自ら選択できるような状況の中で、最高税率を引き上げることは、再分配機能の回復策として実効性に乏しい。むしろ所得再分配機能の強化のためには、現行の所得控除を手当や税額控除等に転換することの方が、実効性が高い。
 現行所得税の所得控除制度は、結果として、高所得者に有利な制度となっている。なぜなら同額の所得を収入から控除した場合、高所得者に適用される限界税率が高いことから高所得者の負担軽減額は大きくなる一方で、低い税率の適用される低所得者の実質的な軽減額は小さくなるからである。例えば、扶養控除(一般)は子育て支援の機能を有しているが、同じ38万円の所得控除を適用した場合、高所得者が10万円を超える減税になるのに対して、低所得者では2万円の減税にもならない。
これに対する答の一つが、民主党がかねてから提唱してきた「所得控除から手当・税額控除へ」である。手当は相対的に高所得者に有利な所得控除に代えて現金給付を行うものであり、定額の給付であることから相対的に支援の必要な人に実質的に有利な支援を行うことができる。

さらに、所得再分配機能を高めていくためには所得控除を税額控除に替えるだけでなく、「給付付き税額控除」の導入を進める。これは税額控除を基本として、控除額が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を現金で給付する制度である。給付とほぼ同じ効果を有する税額控除を基本とすることから手当と同様に、相対的に低所得者に有利な制度となる。「給付付き税額控除」は多くの先進国で既に導入されており、わが国で導入する場合には、所得把握のための番号制度等を前提に、生活保護などの社会保障制度の見直しと合わせて、以下のいずれかの目的若しくはその組み合わせの形で導入することを検討する。

ア)低所得者に対する生活支援
基礎控除を「給付付き税額控除」に替えることにより、現在の課税最低限以下ではあるが生活保護レベルまでには至らない低所得者に対して、生活支援を行う。これにより現行年金制度で低年金・無年金かつ他に所得がないような高齢者をはじめとして、全世代で低所得者に対する生活支援を行うことができる。

イ)消費税の逆進性緩和
消費税の逆進性緩和対策としては「複数税率」もあるが、複数税率の導入は実質的に「消費税の物品税化」につながり、消費税の特性である水平的な公平性を大きく損なう。また軽減税率の対象を選択することが極めて困難であることに加え、課税ベースが大きく侵食されて、結果的に基本税率が高くなることにもつながるため、逆進性緩和策として適当とはいえない。
むしろ逆進性緩和策としては「給付付き消費税額控除」の導入が適当である。この「給付付き消費税額控除」は、家計調査などの客観的な統計に基づき、年間の基礎的な消費支出にかかる消費税相当額を一律に税額控除し、控除しきれない部分については、給付をするものである。これにより消費税の公平性を維持し、かつ税率をできるだけ低く抑えながら、最低限の生活にかかる消費税については実質的に免除することができるようになる。

ウ)就労促進
 職に就き自ら収入を得ても同額の社会保障給付が減ってしまえば、手元に残る現金の額は変わらないため、就労の意欲を減退させかねない。イギリスでは就労時間の伸びに合わせて「給付付き税額控除」の額を増額させ、就労による収入以上に実収入が大きく伸びるようにしている。このような形で「給付付き税額控除」を導入すれば、就労意欲の高まりが期待できる。

なお、税額控除額全額を控除するだけの税額がなく、給付を受けることになる場合は、その給付額はまずは年金や医療等の社会保険料負担分と相殺することを検討する。

格差是正という観点からは、給与所得控除の見直しも検討の対象となる。サラリーマンの経費の概算控除とされる給与所得控除は所得の上限がないが、サラリーマンの必要経費が所得の増加に応じて必ずしも比例的に増加するとは考えにくく、高所得者により有利な制度になっている。担税力に応じた課税を行う観点から、給与所得控除については、一定の上限額を設けることが適当である。
サラリーマンであっても、本来は実際にかかった経費の実額を控除することが望ましいが、現行の特定支出控除(通勤費など一定の経費の実額を収入から控除する制度)はほとんど機能していない。自己研鑽費用、新聞等購読費、業務上不可欠な衣服費など特定支出の対象を大幅に広げることにより、サラリーマンにとって使いやすい制度とする。
 なお民主党としては、本来、全ての所得を合算して課税する「総合課税」が望ましいと考えるが、当分の間は、金融所得については分離課税とした上で、損益通算の範囲を拡大していくことが適当である。

A相続税
 相続税については、「富の一部を社会に還元する」考え方に立つ「遺産課税方式」への転換を検討すべきである。相続財産は社会の存在を前提に形成されたものであり、また、その一部は社会保障給付が反映されているとも考えられる。格差拡大を抑制する観点からは、このように形成された相続財産の一部を社会に還元されることが適当であり、その意味では相続人が資産等を得た時点で課税するのではなく、遺産そのものに課税することが適切である。その上で、その税収を社会保障の財源とすることを検討するべきである。
また、相続税の課税ベース、税率の見直しにあたっては、わが国社会の安定や活力に不可欠な中堅資産家層の育成に配慮しつつ、本人の努力とは関係のない大きな格差が固定化しない社会の構築に配慮すべきである。
さらに、相続税の課税方式の見直しに合わせて、現役世代への生前贈与による財産の有効活用などの視点を含めて、贈与税のあり方も見直していく。

(2)法人税
民主党は租税特別措置の抜本的な見直しを行うこととしているが、これを進めて課税ベースが拡大した際には、企業の国際的な競争力の維持・向上などを勘案しつつ、法人税率を見直していくこととする。なお、租税特別措置の見直しにあたっては、研究開発の促進など真に必要な措置については、現在の時限措置から恒久措置へと転換していく。また、温暖化を中心とする環境対策、雇用の維持・拡大、自治体の工夫や努力などによる地域活性化などの重要課題への対応を法人税制の中で図ることも検討する。

 地域経済の柱であり、雇用の大半を担う中小企業を支えることは、税制の重要な課題であることから、中小企業の立場に立ち、その規模に応じて活性化や競争力の向上を支援していく。同時に起業についても、起業者・誕生直後の企業・出資者などそれぞれのステージや立場に応じて、適切な支援を講じていく。

(3)租税特別措置法の抜本的な見直し
租税特別措置(租特)は、基本的に特定の対象者の負担を軽減することで、特定の政策目的の実現に向けて経済社会を誘導する手段であり、税負担の公平の原則に対する例外的な措置として設けられているものである。
この租特による負担軽減額(減収額)は、公表されているだけで5.2兆円にも達している。政府は歳出についてはシーリングを設けてその増加に一定の抑制を行っているが、歳入を減ずる租特については何ら抑制策を設けていない。
しかし、税収を減ずる租特は、財政負担の増加という意味では歳出と全く同様の効果になる。また、それが特定の対象に、特定の政策を実現するために講じるのであれば、実態は補助金と何ら変わることはない。つまり、租特は「隠れ補助金」なのである。
民主党は昨年から租特の延長・新設を要求している関係各省庁に具体的な資料の提出を求めヒアリングを行ってきたが、これによって「隠れ補助金」には特定の業界や一部の企業のみが恩恵に浴していると思われる延長要望や官僚の権限や仕事を保持するため、あるいは組織の維持存続を図るためとしか考えられない延長要望が数多くあることが判明した。
その一例が、昨年度延長された、肉牛を売却しても売却額が1頭100万円未満であれば所得税や法人税が免除される租特である。これは乳牛、豚肉、鳥肉、馬肉等には適用されない。肉牛については、別途、補助金の適用もある。
今年度の延長等の対象となる租特でも、適用実績や金額が極端に少ないにもかかわらず、延長要望が出ているものが多数見られた。
しかも、関係各省庁は、多くの租特について、増減収の積算を適正に行っておらず、利用実績も把握していない。これでは政策評価を適正に行うことはできない。さらに補助金等の予算措置との重複が想定される租特も見受けられる。
よって、租特の新設・継続に当たっては、補助金同様、対象者が明確であること、効果や必要性が明白であることなど、透明性の確保を通じて、納税者の納得が得られるように改めるため、「租税特別措置透明化法案」を次期通常国会に提出し、租特の整理・合理化を進める。
なお、国税の租特と同様、地方税の非課税等特別措置のあり方についても、検討を進めていく。

(4)消費税
 消費税は導入から既に20年を経過し、わが国の基幹税の一つとなっているが、今なお多くの国民が不信・不満を抱いている。消費税の重要性が今後ますます高まることは不可避であることから、この国民の不信や不満を早急に解消し、信頼できる税とすることが重要である。

 消費税に対する国民の信頼を得る第一歩は、その使途を明確にすることである。そのためには消費税収を財政赤字の穴埋めには使わないことを約束した上で、最低限のセーフティネットとしての年金、医療、介護など国民に確実に還元することになる社会保障以外に充てないことを法律上も会計上も明確にすることが必要である。
 また消費税の制度自体にも国民不信の原因があると考えられることから、インボイスの導入などにより制度の透明性を高め、また逆進性対策として「給付付き消費税額控除」の導入を図ることが必要である。

 消費税率の引き上げについては、民主党が政権を獲得した後に税金のムダづかいを徹底的に根絶した上で、社会保障目的税化やその使途となる上記の社会保障制度の抜本的な改革の具体的内容を示した上で検討する。仮に引き上げが必要となる場合には、引き上げ幅などを明らかにして総選挙で国民の審判を受け、具体化するものである。

(5)個別間接税
@基本的な考え方
 消費税は基本的に全ての財・サービスに課されていることから、そのほかに間接税を課することは二重課税(若しくは同一の財・サービスに対して2度課税)を行うことになる。これは税制、特に消費税に不信・不満をもたらすことになるため、早急に解消することが必要である。したがって、特定の政策目的がない個別間接税は早急に整理すべきである。

 一方で、世界の税制改革の流れの中で「グッド減税・バッド課税」という考え方が示されている。これは特定の財・サービスが環境や健康などに影響をもたらす時に、それが好影響である時には税負担を軽減し、悪影響である時には税負担を課すという考え方である。消費税に加えて個別間接税の負担を納税者に求める場合には、「グッド減税・バッド課税」の考え方に立って、課税のあり方を検討する。

A自動車関係諸税
 わが国の自動車関係諸税は、あまりに複雑であり、また自動車ユーザーに過重な負担を強いている。自動車関係諸税は、前記の間接税に対する基本的な考え方に沿い、抜本的に見直すこととする。
 具体的には、自動車取得税は消費税との二重課税を回避する観点から廃止する。自動車重量税及び自動車税は、保有税(地方税)に一本化し、その税収を自動車から生じる社会的負担に広く対応する地方の一般財源とする。ガソリン等の燃料に対する課税は、一般財源の「地球温暖化対策税(仮称)」として一本化し、特定の産業に過度の負担とならないよう十分配慮しつつ、排出権取引制度と一体的な制度設計を行う。以上の改革を行うにあたっては、地方財政に十分に配慮する。

B酒税・たばこ税
 酒税・たばこ税は、いずれも消費税との二重課税になっているという基本的な問題があると同時に、これまで安易な財源確保策として用いられてきたこと、特に酒税については企業の技術開発の努力を踏みにじる対応が取られてきたという問題がある。これは酒税・たばこ税が財源確保を目的に創設されたことに由来するものであるが、前記の基本的な考え方に照らして、このようなあり方は望ましいものではない。
 酒税・たばこ税は国民の健康確保を目的とする税に改めるべきであり、その際には国民に分かりやすい仕組みにすることが必要である。その観点から、酒税については、特に清酒・焼酎などの現行の税負担に配慮しつつ、基本的に致酔性に着目してアルコール度数に比例した税制とすることが望ましい。
また、たばこ税については財源確保の目的で規定されている現行の「たばこ事業法」を廃止して、健康増進目的のたばこ規制法を新たに創設し、「たばこ規制枠組み条約」の締約国として、かねてから国際約束として求められている喫煙率を下げるための価格政策の一環として税を位置づける。具体的には現行の「一本あたりいくら」といった課税方法ではなく、より健康への影響を考えた基準で、国民が納得できるような課税方法を検討する。さらに、その際にはJTに対するさまざまな事業規制や政府保有株式のあり方、葉たばこ農家への対応を同時に行う。

(6)地方税財源のあり方
 国と地方の役割分担の大幅な見直しと合わせて、それぞれの担う役割に見合った形へと国・地方間の税財源の配分のあり方を見直す。また、現在の個別補助金は基本的に全廃し、地方が自由に使える財源として一括交付する。一括交付分と現在の地方交付税の一本化など、より強い調整機能を持つ、新たな財政調整制度の創設を検討する。

4.執行体制の改革指針
(1)社会保障番号制度と歳入庁設置
@所得把握体制の必要性
 政府が国民になんらかの負担を課したり、便益を与えたりする際に最も重要なのは公平であることである。
現行所得税は所得に応じた税負担を求めている。また年金や医療、介護をはじめとするさまざまな社会保障制度の多くが所得に応じた保険料負担を求め、所得に応じた便益の供与を行っている。したがって、こうした制度が国民にとって公平に運営されていると信頼されるためには、正確な所得把握が必要不可欠である。
もし正確な所得把握が不可能とするならば、それはそもそも現在の所得に応じた負担や給付を行う現行所得税や各種社会保障制度そのものが不公平であることを意味し、こうした制度を公平な制度とするためには、負担や給付の基準を所得以外に求めなければならなくなる。仮に各種社会保障制度において所得をその負担や給付の基準としないとした場合には、一律負担・一律給付の形をとらざるをえなくなり、社会保障制度の効率化・重点化は不可能となる。
民主党は、社会保障制度の効率化を進めつつ、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障をより手厚くするために、正しい所得把握体制の環境整備が必要不可欠であり、そのためには番号制の導入が必要と考える。
 このような考え方に立ち、社会保障給付と納税の双方に利用できる番号制度の早急な導入を進める。
利用する番号として最も望ましいのは、「消えた年金」「消された年金」の再発を防ぐため国民全員に交付する「年金通帳」の番号であるが、早急な番号制度の導入が必要なことから、政府が現在検討している社会保障番号も含めて検討していく。

A歳入庁の創設
税金も社会保険料も国が賦課徴収を行うという意味では国民にとって同じであり、その納付先が異なることは国民にとって利便性に欠け、国にとっても非効率である。また公的機関で最も所得捕捉能力の高い徴税当局が保険料を徴収することによって公平性も確保できることになる。
民主党は、現在年金の保険料の徴収を担っている社会保険庁を廃止し、その機能を国税庁に統合する。統合された機関の名称は「歳入庁」とし、「歳入庁」が税と社会保険料の賦課徴収を一元的に行うこととする。これによって、徴税当局が把握した所得に基づき、税・保険を集めることになる。行政機関の整理統合と共に、これまで社会保険担当部局が個別に行っていた所得調査などの事務が必要なくなることによって、効率的な行政が実現できる。国民にとっても税は税務署、保険料は社会保険事務所など別々の場所に納付する手間が省けることになる。
 歳入庁は、国税と国が管掌する社会保険料の徴収を行うこととなるが、国税と徴収対象や賦課基準が類似の税について自治体が希望する場合、地方税等の徴収事務を受託することも検討する。

(2)納税者の権利等
 税制は議会制民主主義の根幹であり、納税者の立場に立つことが基本であるにもかかわらず、これまでの税制は為政者の立場に立ったものであった。それは税務行政にも表れている。民主党は税制の中身のみならず、税務行政についても納税者の立場に立ち、根本から改革を進める。

@「納税者権利憲章」の制定と更正期間制限の見直し
 国民の納税者としての意識を高め、より強固な民主主義を構築していくための第一歩として、確定申告を原則とし、給与所得者については年末調整も選択できるという制度を導入する。また、これを実現するにあたって、納税者の権利を明確にするために「納税者権利憲章」を制定する。
納税者の権利を守るための具体的な改革として、更正等の期間制限が課税庁からの更正と納税者からの修正で異なる点について見直していく。特に課税庁の増額更正(事後的な納税額の増額)の期間制限が5年であるのに対して、納税者からの更正の請求(事後的な納税額の減額)の期間制限が1年であることは納税者の理解を得られにくく、早急に見直す必要がある。

A国税不服審判のあり方の見直し
 税が議会制民主主義の根幹であることを考えれば、個別の課税事案に対して納得できない納税者の主張を聞く「国税不服審判所」は、民主主義にとって極めて重要な機関である。しかし、国税不服審判所の現状は、この重要な役割を果たすには十分ではない。特に、その機能を果たすために最も重要な審判官の多くを財務省・国税庁の出身者が占めていることは問題である。そのほかにも証拠書類の閲覧・謄写が認められていないなどの問題があることから、国税審判のあり方やその手続きについて、納税者の権利を十分に確保することを基本に見直すことが必要である。

5.平成21年度税制改正について
9月のリーマン・ショック以降の金融、為替、株などの国際市場の混乱や世界経済の需要の急速な縮小の影響を受け、わが国の実体経済はこれまでに例を見ないスピードで悪化している。世界経済が混乱していることから、外需をきっかけとするこれまでの回復パターンを期待することができず、今後の見通しは極めて厳しい状況にある。
 民主党は政権獲得後直ちに、前記のような理念、方向性、プロセスに基づき税制の抜本的な改革に取り組んでいくが、平成21年度の税制改正については、現下の経済状況に対応し、国民生活を守り、わが国経済の基盤である中小企業の経営を支えることを中心に、以下の改正に重点的に取り組むことを求めていく。

(1)租税特別措置の見直し
 民主党は租税特別措置について「租特透明化法」を制定することを通じて、抜本的な見直しを進めていく。しかし、今次の平成21年度税制改正においては、租特の抜本的な見直しを行うだけの十分な資料が収集・公表されておらず、その実態や政策効果を正確に把握することができない。
 よって今次改正においては、基本的な考え方を踏まえつつ、可能な限り個別の租特の意義、効果を検証した上で、個別の案件ごとに判断をしていく。その際には以下のような点を勘案する。
ア)費用対効果
 減収額、担当部局の人員、事務量などの当該租特を実施するための費用に対して、十分な効果が得られているか。またその効果は現在の社会に求められている効果か。
イ)実施期間
 当該租特の政策目的に照らして、その実施期間が適切か。既に目的を果たしていないか。目的自体が社会のニーズに即しているか。
ウ)支援措置の重複
 補助金などの歳出側からの支援制度において、当該租特と同様の目的を有する制度が存在しないか。歳出側からの支援制度との役割の分担は明確か。

(2)内需主導型経済への転換
 家計の可処分所得を増やすことにより、過度な外需依存型から内需主導型の経済への転換を図る。
○道路特定財源については、平成21年度において着実に一般財源化を図ると共に、暫定税率を廃止し、減税する。
○年金課税については、「公的年金等控除」「老年者控除」を、平成16年度改正以前の状態に戻す。控除の適用には所得制限を設けるが、適用の前後で税負担が急増しないよう、適切な措置を講じる。また、年金受給者の納税手続きが過度の負担となっていることから、これを簡素化する。
○証券税制については、一体課税の環境が整備できるまでの間、現行の優遇税制を延長する。
○住宅ローン減税については、現在の平均的なローン残高が1600万円程度(平成18年度・家計調査)であることから、いたずらに最大控除可能額を拡大するのではなく、バリアフリー化や省エネなどの社会ニーズの高い分野に対して重点的な負担軽減策を講じる。また、自らの資金で住宅を新改築・購入した場合でも、住宅ローン減税と同程度の負担軽減を受けることができる制度(投資減税)を創設し、団塊世代などの建て替えやリフォームのニーズに応えていく。
○生損保など民間保険会社の保険料控除については、社会保障制度を補完する遺族・医療・介護・老後(年金)といった保険商品に対応した、新しい保険料控除制度を創設した上で、所得控除限度額を所得税において15万円程度に引き上げる。

(3)中小企業等に対する支援
 わが国経済の基盤である中小企業の活動を支えると共に、これを通じた雇用の確保を図る。
○中小企業に係わる軽減税率を、当分の間、現行の22%から11%に引き下げる。
○いわゆる「特殊支配同族会社」の役員給与に対する損金不算入措置は廃止する。
○平成4年度から凍結されている繰戻還付制度は、凍結を解除する。
○中小企業の交際費の損金算入限度額について、現行の90%の上限規制を撤廃し、400万円以下の部分について全額損金算入を可能とする。
○中小企業の事業承継に係わる税制については、事業や雇用の継続を条件に、株式についても事業用宅地並みの軽減措置(納税猶予)を適用する。
○企業が国外に保有する資金を国内に還流し、設備投資、賃金引き上げ等に活用できるよう、海外子会社からの配当について非課税とする。

(4)市民が公益を担う社会の実現
○所得税の寄付優遇税制に「税額控除」を創設する。主として公益を担う一定範囲の団体(事業を含む)等から、納税者が選択した対象に寄付を行った場合、所得税額の5%を上限に税額控除できる制度を創設し、「総所得の40%」を上限とする所得控除制度との選択制とする。
○NPO税制については、パブリック・サポート・テストなどの認定要件を大幅に緩和すると共に事務手続きの簡素化を進める。
○認定NPOにおけるみなし寄付の損金算入限度額の引き上げ、NPOに対する寄付の税額控除制度創設などを行う。

(5)徴税の適正化
○毎年、1兆円弱の新規滞納が生じている現状に鑑み、徴税の適正化を図る。また個人・法人合計で1000億円近くも加算税が生じている状況を是正するため、罰則の強化や重加算税割合の引き上げを行う。
○消費税の還付額が年間3兆円にも達しているが、その中に相当額の不正な還付が存在すると考えられる。これを防止するため、還付に係わる調査機能を強化する。
○企業活動の国際化に伴い、「移転価格税制」が課題となっている。企業活動の円滑化を図るため、速やかに関係各国と調整を行う体制を整えると同時に、一部に見られる租税条約の乱用等不適切な事案の摘発を強化する。

以上

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  【次の内閣】「2008年度の税制改革大綱」閣議で正式決定
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=12440
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