党緊急雇用対策本部の菅直人本部長(代表代行)は24日午後、党本部で「派遣切り」で窮地に陥っているブラジル移住労働者とその支援者と面談。雇用情勢の急激な悪化により非正規労働者の雇い止め、解雇等が社会問題化しているなか、そのあおりを最も深刻な形で受けている移住労働者への支援を求める「移住労働者とその家族の緊急雇用対策及び諸支援に関する要請」を受け止めた。
はじめに、移住労働者と連帯するネットワーク事務局長を務める鳥井氏から、日本で働く外国人労働者はほとんどが非正規雇用だとして、厳しい雇用情勢の下、親戚縁者のいる母国に帰りたくても帰れず路頭に迷っている人が大勢いると説明。そうした事態を踏まえ、緊急要請項目として、(1)移住労働者とその家族の雇用・生活状況の把握、(2)多言語での情報提供および相談窓口の設置、(3)外国人学校に対する緊急支援――の3点を政府に働きかけてほしいと求めた。約32万人の労働者のうちすでに1割は帰国、帰りたくても帰れずにいる人が30万人近くいるとの指摘が重ねてあり、さしあたっては飛行機代等の帰国費用の支援の要請があった。そのうえで、生活保護ではなく働きたいとの主張が大多数であるとして、多くの労働者は農業経験もあり、仕事を与えてほしいとの訴えがあつた。
ブラジルからの移住者は、100年前、日本が厳しい情勢の最中にブラジルに移住し、その後人手を求めてブラジルから労働者を招いたものの、雇用情勢が厳しくなると切り捨てを図ろうとする日本社会の姿勢を批判。派遣先の会社自体が厳しい状況にあることに理解を示しつつも、労働者にとって不安定な状況を改善すべく、正確な情報、明確な方針を打ち出してほしいと求めた。
また、日本にある約100の外国人学校において、親の雇用不安によって月謝が払えなくなり、学校に通えない子どもが急増し、来年1月には生徒数が半減するとの見通しを示し、学校自体が閉鎖される所もあると指摘。外国人学校に通う子どもの中にはいじめにあって公立学校に通えなくなった例も少ないくないとして、文化、言葉の問題などもあり、外国人学校がなくなったら公立学校に行けばいいという単純な問題ではないと窮状を述べた。
菅代表代行は、直接に現場の声を聞けた意義を強調。雇用問題に限らず、日本の身勝手な対応が日本不信に繋がらないよう、しっかりと対処しなければならないとして、国会をはじめ、行政に働きかけ、希望の実現に向け努力すると約束した。
なお、同事務局長の小沢鋭仁衆院議員、党非正規雇用対策プロジェクトチーム座長の細川律夫衆院議員、国民運動委員長代理の高山智司衆院議員、山井和則『次の内閣』ネクスト厚生労働副大臣、郡和子衆院議員、岡崎トミ子、相原久美子各参院議員が出席した。
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