民 主 党
非正規雇用対策PT座長 細川律夫
大手自動車メーカーの期間従業員に対する有期労働契約期間中の解雇通告が撤回されたという報道がされている。先に民主党が発したコメント「有期労働契約の安易な中途解除は許されない」(12月4日付)でも指摘したように、労働契約法17条(※)の趣旨に沿って、残りの契約期間の賃金の支払保障等が行われるのであれば、大きな前進である。
しかしながら、今回の解雇通告の撤回には同社で働く派遣労働者が含まれていないという。労働契約法は使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者すべてに適用されるのだから、「派遣元企業」に雇用される派遣労働者について同法第17条が適用されていない状況があるとすれば、きわめて不公平である。派遣会社において、派遣労働者の残りの契約期間の賃金の支払が保障されなければ、労働契約法17条の趣旨に反するものであり、許容できない。
改めて強調しなければならないが、直接雇用、間接雇用にかかわらず、有期労働契約は契約期間について労使双方が納得して決めたものであり、契約当事者双方が拘束され、その遵守が強く要請される。派遣労働者側が派遣会社に対して、契約期間中の雇用保障を期待するのは当然のことである。個別事情があるにせよ、発注先や派遣先からの契約が中途解除されたという理由だけで、「やむを得ない事由」があると自動的に認められるものではないことは、派遣労働者を雇用する派遣会社においても同様である。
派遣労働者の皆さんの多くは派遣会社と有期労働契約を結んで派遣先で働いておられることと思う。たとえ労働契約期間中に解雇通告されるという場面に遭遇しても、決して泣き寝入りをすることなく、派遣会社に対して「やむを得ない事由」について質し、納得がいかなければ法的手段も辞さず、残りの契約期間の賃金支払も含め毅然たる態度で臨んでいただきたい。多くの派遣労働者の皆さんが仕事と住まいを奪われ、帰る家のない状態に追い込まれようとしている。政府においても、年末年始、ハローワークや労基署等での相談機能や情報提供の充実を含め、なお一層の奮闘を要請したい。
以上
※労働契約法第17条1項は、期間の定めのある労働契約について以下のとおり規定している。「やむを得ない事由」が存在することについての証明責任は、契約解除をする側である使用者(派遣労働者の場合は派遣会社)が負うこととなっている。
第十七条
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
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