衆議院予算委員会で8日午後、逢坂誠二議員が菅直人代表代行、仙谷由人議員に続いて質問に立ち、定額給付金について、自治体財政困窮、自治体事務所執行、分権等の観点からその問題点を取り上げ、あらゆる点から「究極の大愚策だ」と指摘した。
逢坂議員は、国民の声に耳を傾けず、ニーズに合わない愚策を展開する夢の話を『裸の王様』のようだとして紹介したうえで、ニセコ町町長として自治体行政に携わってきた経験を踏まえ、定額給付金について「自治体の現場にいた感覚でいうと筋の悪い政策、実施するという点でも難しい。住民の皆さんにも支持が得られないと思う」と問題視した。
そのうえで逢坂議員は自治体財政について「火の車」だとの認識を示すとともに、小泉政権下での三位一体改革によって地方交付税が6・8兆円も削減されたうえ、自治体が自己裁量で使えるのは8%強にすぎないと説明。きびしい状況にあるとした。
逢坂議員はまた、病院数の減少、労働条件の悪さによる介護の担い手の減少など、厚生労働分野では解決すべき課題が山積しているとの見方を示し、「2兆円というお金があるとすればどういう厚生労働施策を行うか」と舛添厚生労働大臣に質した。大臣は社会保障だけが国の施策ではないとしつつも、医療・介護・年金・雇用などを列挙し、財源が確保できれば、行いたい施策は諸々あるとの考えを示した。
続いて逢坂議員は、事務所に届いた定額給付金に関する一般の方々からのメールを紹介。「私が行政に携わって以来の最大の愚策」「仕事をつくる失業者対策・小中学校の耐震強化等に充てるべき」「この予算で行う雇用対策を検討しないのか不思議」「自治体の現場で定額給付金の担当になったが、バラマキを担当させられるのは不本意」「山積する問題をさしおいて愚策に対応させられるなら、総務省職員を全自治体に派遣し業務に当たらせるべき」「予算だけでなく法律で決めるべき」「自治体現場では路上生活者に配布するのは手続き上不可能だと思う」等、問題点を指摘する国民の声を取り上げた。
また、函館市長の「地方財政がきびしい、他にやることがあるのではないか」として、同市分の総額45億円を市の予算に組み入れれば市立病院の赤字を解消できるとの指摘を取り上げるとともに、自治体病院の累積赤字2兆円の解消に充てるべきと問題提起した。
逢坂議員はさらに、年度末は住民票の移動が最も多い時期でもあるうえ、給付に向けた自治体議会の議決も必要であり、事務執行の観点からも政府が目指す年度内支給はほぼ不可能であると指摘した。麻生首相は、年度内で配りたいと希望しているがとしたうえで「あらかじめ段取りしている自治体もあれば、そうでないところもあるし、もめるところもあろうと思う」と語り、1804団体で事情は様々なので給付できるか疑問などと、すでに給付は困難との認識を口にした。
また、逢坂氏は「住民票の異動は3、4月が非常に多い。2月1日時点(の住所)を基準にすると混乱する。自治体職員も『本当に大丈夫か』と言っている」1804団体で事情は様々なので給付できるか疑問などと、無責任極まる答弁を口にした。
答弁を受けて逢坂議員は、そうした事情があるのであれば、準備期間を確保するためにも、なぜ昨年中に第2次補正予算案を提出しなかったのかと迫り、「いかにもこれは国の勝手なやりかた」と不快感をあらわにした。
逢坂議員は麻生内閣閣僚の「定額給付金を受け取るか否か」の対応のブレにも言及。首相はじめ閣僚が自らの対応を明言できない理由について、「本当にすべての国民の皆さんにとって必要な政策なら『受け取ります』と言えるはず。受け取らなくてもいい人にまで全部ばら撒くことのあらわれだ」と指摘。さらに逢坂議員は「本当に苦しい人を差し置いて、そういう政策だから煮え切らない」と重ねて問題視し、「究極の大愚策だ」と語った。
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