29日、衆議院本会議において、民主党・無所属クラブの山井和則議員が代表質問に立った。山井議員は冒頭、「全国約500万人の障害者の方々の声なき声を代弁する気持ちで質問を行いたい」と述べて、障害者雇用促進法改正などをめぐって政府の方針を質した。
まず山井議員は、障害者が仕事に定着できるよう就労する現場を訪問し、障害者と雇用主との橋渡しをするジョブコーチの必要性を指摘。その養成の現状を坂口厚生労働相に質した。厚労相もその必要性を確認し、750名を養成する予算を確保したことを報告。今後もニーズを見すえながら増員していくとした。
次に、精神障害者の雇用促進と障害者の雇用率の公表について質問。山井議員は「障害者を雇うよりも月5万円の納付金を払った方が安い」とする声が強いと指摘し、法定雇用率とは名ばかりの制度だと指弾。雇用率の公表に踏み切るよう、厚労相の決断を迫った。厚労相は「障害者雇用促進法において雇用率の改善が見られないときは、社会的制裁として企業名の公表もある」とした。
続いて、障害者雇用の数値目標の設定についても取り上げ、「就労することによって障害者は生きがいや将来への夢を持ち、地域で暮らしていくことができる」と訴えながら、数値目標を掲げ前向きに取り組むよう政府に要請した。
山井議員はまた「日本社会は障害児や障害者を社会から隔離する傾向がある」と指摘。雇用者側が障害者と接することがないために、障害者に何ができるかわからず、結果として障害者雇用を阻むことにつながっているとして、障害児との交流を深める教育の実行を遠山文部科学相に促した。
さらに、経済財政運営に関する「骨太の方針」は障害者雇用に関わる問題には「高齢者などの働きやすい環境づくり」としか触れておらず、障害者は「など」という言葉に含まれているのみで不十分だと批判。その上で、小泉内閣が構造改革によってめざす社会は障害者にとってどんな社会か、と福田官房長官に質した。官房長官は「構造改革と経済財政の長期展望において、人を何よりも重視する国にする」と答弁した。
山井議員は「強い立場の側だけを考えて政策をつくり、弱い立場の人が暮らしにくい歪んだ社会にしてはならない」と強く主張。弱い立場の人への配慮が小泉内閣には徹底的に欠落していると述べ、多くの障害者が就労し、地域で自立して暮らすことができる社会をつくることの必要性を重ねて訴えた。
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