枝野幸男議員は19日午前、衆議院予算委員会集中審議で質問に立ち、G7後の記者会見で醜態をさらして中川前財務・金融大臣が混乱の末に辞任した問題などについて麻生首相の見識を質した。
枝野議員は、経緯はどうあれ、全世界にあのような映像が発信されてしまった責任は重いとして、失態を犯した中川前大臣本人の責任はもとより、任命権者である麻生首相の責任を追及。多くの国民が不快感や国益を損ないかねないとの危惧を抱いているとも指摘し、麻生首相から何ら謝罪の言葉がないことを問題視した。
麻生首相は任命責任を認めたうえで、予算審議中での担当大臣の辞任は前例がなく、誠に遺憾なことであると表明。一方で、「現下の経済状況にあっては国民生活、日本経済を考えたとき予算および関連法案の成立が何より重要。早期成立に全力を挙げることが一番の責任」と強弁した。
枝野議員は、麻生首相の答弁が論点をずらしたものであり、誠意が感じられないから問題が大きくなっているとして、重ねてその責任を詰問。麻生首相は、「あのような映像が世界に配信された結果については遺憾に思う」とようやく謝罪の意向を示した。枝野議員は、まずは国民にお詫びすることから入るべきだったと指摘したうえで、中川前大臣が辞任に至るまでの経緯に言及、その過程において首相としてのリーダーシップが全く発揮されていない現状を批判した。
また、辞任理由について体調不良であることのみで片付けようとする麻生首相に対して、「ローマで大醜態をさらした会見についての責任をみじんも感じていない」と指弾。結果的に体調不良を理由に辞任したとはいえ、少なくとも普通に見れば酔っ払いと見える映像が全世界に発信されたことについて何ら謝罪の言葉がないのはなぜかを質した。
麻生首相は、あの映像は体調不良に起因するものであり、体調が良ければいろいろとリカバリーできるが体調不良ならば辞任はやむを得ないとの認識を示し、本人の決断を尊重したと回答。これを受けて枝野議員は、審議を通していかに責任追及を回避するか、言質をとられないかの一点のみで答弁する麻生首相の姿勢に対して、国民は当事者意識、誠実さの欠如を感じていると分析。「誠意をもって真摯に国民に向かいあい説明する姿勢のない内閣が国民の信任を得て経済政策を推進していけるはずがない。誠意をもって国民の皆さん、世の中の声に向かい合ってほしい」と要請した。
同時に、それができていないことが今回のこの事態における内閣としての見識が問われているところであるとして、「今のような姿勢とリーダーシップ(が変わらないの)であれば、事態を招いた責任を、遺憾ながら、これからも追及せざるを得ない」と述べ、質問を終えた。
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