20日午後に開かれた衆議院予算委員会の集中審議で、大島敦議員が質問に立ち、景気動向、中小企業金融、雇用対策等をめぐり、麻生首相はじめ関係大臣と議論した。
大島議員は冒頭、経済人とのやりとりを紹介し、3月の受注額が減少傾向にあると指摘。11月、12月以降、受注が相当減少し、会社によっては12月は15%、1月は50%と減少し続けているとして、「今2月の時点で、昨年比で50%の受注をもっている会社は極めて稀。50%をもっていれば羨ましがられ、2月時点で昨年比で3割しかなく、3月も見えない状況のなかで頑張っている。経営者は苦労している」と実情を語った。
また、雇用調整助成金(今回は中小企業緊急雇用安定助成金)で手厚く対応しようとしているが、従来支払われていた賃金もそれほど高くなかったため、雇用調整助成金を使ってある程度賃金を抑えると従業員が生活できなくなる可能性があるため、経営者の頑張りで3月まで切り抜けようという企業もあると分析。同時に、会社自体の稼動を週2日に抑えたり、金曜日を休みにする会社も増えてきていると、それぞれの窮状を明らかにした。
そうした現状をふまえて大島議員は、雇用の問題も重要だが、中小・小規模企業の資金繰りに目を向ける必要があると問題提起。輸出産業の下請け企業には相当な落ちこみが見られると分析するとともに、「このまま放っておくと資金繰りがつかずに、倒産するところが本当に増えてくる」と指摘。銀行にとっても「倒産するよりも返済猶予はメリットがある」として、政府主導で返済の猶予を行うことが重要だと指摘。去年11月に中小企業庁と金融庁が連携して行った、債務返済繰り延べ(リスケジューリング)は事故扱いしないと金融のマニュアルを変えた点を大島議員は評価し、現下の状況をふまえ、金融庁、中小企業庁にも一段の措置をお願いしたいと要請した。
その求めに対して与謝野金融担当大臣は「金融はこういう状況だから杓子定規なものではなく、企業の実態に応じた金融を考えなくてはいけない」との認識を示し、大島議員に「まったく同感だ」として賛同の意向を表明。中小企業庁とも相談しながら金融庁としてできる限りのことをやって行くとした。また、二階経済担当大臣も、経済産業省は金融庁と中小企業庁と連携を密にして、しっかりと取組みを行うとした。
大島議員はさらに、金融と需用の両面をにらんで対策を講じて行くとする与謝野大臣の答弁をうけて、ただ、耐えなくてはならないところは耐えなければならないとも述べ、そのためのセーフティネットの構築が必要だと指摘。万全の社会保障整備のためにも雇用保険の保険料率は引下げないほうがいいとの認識に立ち、舛添厚生労働大臣に対して、「そろそろ下げるというのは取り下げる時期に来ているのではないか」と述べ、舛添厚労相に決断を迫った。
しかし、厚労相は「雇用を守ることと雇用創出のバランスを持って考えた結果とし、引き下げを行うと回答。麻生首相も「(保険料が)なくなるわけではない」などとして1年限りだが断行する考えを明示した。
大島議員はまた、麻生首相の政務秘書官・村松氏が知人の息子の私大医学部進学をめぐり元文部省(現文部科学省)審議官に指導を依頼したことについて質問。麻生首相は、事実関係を確認したうえで、村松政務秘書官に「世の中に疑惑を持たれないように」と厳重注意したと答弁。あわせて首相は「大学入試に際しての便宜のお願いや金銭の授受はないということだ」と説明した。
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