09年度予算案の審議が行われた参議院予算委員会で5日、民主党・新緑風会・国民新・日本の森ゆうこ議員が質問に立ち、世界的経済危機への対応、教育支援のあり方、日米首脳会談と拉致問題への対応などについて、麻生首相はじめ関係大臣に質した。
森議員は世界的経済金融危機と我が国の経済政策の対応についてとして、麻生首相と与謝野財務・金融・経済財政担当大臣に対して100年に一度と言われる経済危機に対する認識を質した。
麻生首相は米国発のサブプライムローンに端を発した経済危機が世界に広まったとの認識を示すとともに、日本の状況については「損害が大きくなかった」と述べ、日本の金融機関はサブプライム債権の購入をためらったことで、他国に比べると損害は小さかったとした。
森議員はそうした首相の認識の甘さを指摘するとともに、昨年10〜12月のGDPが実質12・7%減を記録した日本経済の現状を指摘し、その理由を質した。首相は、米国・中国への外需に依存し、内需を喚起してこなかったと振り返り、「そういった点が大きな問題」として、自国の内需を喚起する政策を実行していかないといけないと語った。
また、景気回復の見通しを森議員が質問したのに対して与謝野大臣は「どれくらいで回復するかは見通せない」としたうえで、09年度の政府経済見通しに関して、「4月に入れば、1〜3月の数字の見極めがある程度つくので、見直しの作業はきちんと始めさせなければいけない」と述べ、改定の作業に新年早々にも着手するとの姿勢を表明。森議員は「見通しをもう一度訂正されるということか」と念を押したうえで、「正しい見通しがなければ正しい政策を提示することはない」と断じ、早急な対応を求めた。
同時に舛添厚生労働大臣に対しても、雇用情勢の悪化に伴う最新情報を踏まえて雇用対策・失業対策を再考するよう、強く要請した。
森議員はまた米国債増発に対する懸念も示すとともに、自国の国益を守るという観点と米国への配慮の両立のためには米国債は円建てで購入すべきだ指摘した。しかし、麻生首相は米国債購入そのものについて「私は聞いていないのでお答えの仕様がない」などと明言を避けたうえで、米国の経済が立ち直って行くことが重要、輸出過多と輸入過多の是正が必要などと答弁した。
子どもの教育を受ける機会の確保および私立大学の財務状況についても取り上げた森議員は、倒産、解雇、リストラが多発するなか、子どもたちの教育を受ける機会が失われていると指摘。また、資産運用を目的とする金融取引で、多額の損失を被った私立大学があることを問題視し、それぞれの現状を質した。それに対して「まだ調査していない」とする塩谷文部科学大臣に対して「なぜ調査しないのか」と迫り、その対応の遅さを批判。求められる支援を実現するためにも早急に調査するよう求めるとともに、奨学金予算が減らされている実態を問題視。「これから要望が増えるかもしれないなか、どういう認識なのか」と指摘した。
同時に奨学金の貸与を行う日本学生支援機構において、天下り・不必要な随意契約が行われていることを質疑を通じて浮き彫りにし、「税金のムダ遣い」を改めるよう釘をさした。
また、拉致問題についても取り上げ、政権交代が行われた米国や韓国とは、拉致問題解決へむけ、協力関係を整備・強化していく絶好の機会という認識を提示。問題解決に強い意志で臨むよう、麻生首相に改めて強く求めた。
森議員はさらに、所得が低いなかで賢明に子育てしている母子家庭支援、タクシー減車制度の導入などを強く求めた。
|