参議院予算委員会で9日午後、民主党・新緑風会・国民新・日本の富岡由紀夫議員が質問に立ち、財政再建のためには法人税引き上げが不可欠との考えを示した。
富岡議員は午前中の鈴木寛議員に引続き、西松建設の違法献金に関して調査の見通しについて言及した漆間官房副長官の発言を問題視。記者の認識が違っていたと強弁する漆間官房副長官に対し、「20人の記者がいて、皆の認識が違っていたのか。(漆間官房副長官)とマスコミとどちらが正しいのか明らかにしてほしい」と、本日の定例会見において説明責任を果たすよう求めた。
次に富岡議員は、多額の債務残高を取り上げ、1000兆円の借金に対しGDP500兆円だとして、日本の歳入不足について質問。麻生首相は、現況においては「経済成長、景気対策が重要」だと主張、中期的には財政再建を図ると述べた。与謝野財務相は、歳出削減、歳入改革の規模に関して、直感的な数字と前置きしたうえで「15兆円前後確保しないとプライマリーバランス到達できないだろう」との見通しを示した。
歳入改革のための15兆円について与謝野財務相は、法人税、所得税、消費税を列挙。消費税は今後、経済回復後に社会保障費に直結するかたちで引き上げる考えを明かす一方、「法人税は国際的な動向を見て考える。下向きになっていると思うが、実際はその時の経済状況による」とした。
これに対し富岡議員は、「利益をあげているところにはそれ相応の負担してもらわないと改革できない」と述べ、日本の財政赤字を解消するためには法人税の引き上げが必要だと主張。法人税収51兆円のうちの約7割の35兆円が10億円以上の利益をあげている企業のものであるとして、260万社のうちわずか0.2%のみが利益をあげている現状においては法人税引き下げは必要ないと指摘、法人税体系を変えない限り日本企業全体の底上げはできないと訴えた。
さらに、下請けいじめの実態にも言及。国際競争力を盾に法人税を20年前の43.3%から30%に引き下げているにもかかわらず、その分の6.7兆円が研究開発などの設備投資や労働者の賃金に回っておらず、一方で株式配当金のみが3.2兆円から16.2兆円に増えていると問題視した。
与謝野財務大臣も、法人税を下げてきたのは会社が活力をもって活動できるようにと意図したものと説明。「配当が上がり労働分配率が上がらないというのは望んだ世界ではない」とした。
富岡議員は、二階経済産業大臣に平成19年度に行ったアンケートにおいて、法人税を国際水準並みに下げたとしても既に海外移転している企業の7割が国内回帰しないと回答しているとの結果を確認したうえで、改めて法人税引き上げを主張。二階経済産業相は「国際競争力の観点含めて総合的に検討していく」と述べ、下請けいじめについても公正取引委員会と連携取りながらしっかりと対応していく方針を強調した。
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