小林正夫議員は、参院予算委員会で経済・雇用・社会保障の集中審議が行われた12日午前質問に立ち、アメリカ型の競争社会を目指した自公政権を「人を大事にしない、失政である」と批判した。
小林議員は、若年層の失業率が高いこと、15歳から24歳で7.4%、25歳から34歳で5.6%であることを指摘し、「これでは技術立国日本は衰退する」として、麻生首相に見解を質した。首相は指摘はもっともだとしたが、基本的には経営者が長期的観点で考えることとして、政府の雇用責任を認めなかった。
次に、企業が社会保障の事業主負担を逃れるために非正規雇用を増やしたこと、政府がこれを行き過ぎた規制緩和によって後押ししたことを小林議員は指摘し、非正規労働者のうち最大で1007万人が雇用保険未加入となっている現状を改めるために、民主党は他の野党と共同で、雇用保険の加入要件を31日以上とする雇用保険改正案、再就職能力開発訓練中は1日5000円を支給する法案、内定取消し規制法案を衆院に提出したことを明らかにし、賛成するよう求めた。
また、政府の加入要件が現行1年以上の雇用見込みであるのを6か月に短縮する雇用保険法改正案では、対象となる労働者は148万人しかないこと、多くの派遣労働者は6か月未満で派遣されていることを挙げ、6か月とした根拠を質した。舛添厚生労働相は「2カ月しか働かない人が掛け捨てになるなどのマイナス面も含め総合的に判断した」と答え、厳しい立場にある派遣労働者の現実を無視した。
また、雇用保険の遡及期間が2年しかなく、実際に雇用保険を支払ったにもかかわらず、受給期間が本来270日あるはずものが90日になったケースがあったこと、総務省行政監察局長が当時の労働省に弾力的運営を求めたことも指摘、こうしたことが起きないよう遡及期間の延長を要求、首相にリーダーシップの発揮を求めた。首相は「総理の一言でどうにかなるものではない」と拒否した。
また、年金に触れ、先に厚生労働省が発表した財政見通しは、経済成長率が0.8%、運用利回りが4%と前提条件が甘く、現役時代の50%を給付するとの数字合わせではないかと追及した。与謝野財務・金融・経済財政政策相は、「こういけばいいなと思う。仮定計算と理解を」と暗に数字合わせであることを認めた。
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