森本哲生議員は13日午後、衆議院本会議で「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案」の質問に立ち、道路行政の抜本的改革を主張した。
冒頭、道路特定財源制度は、道路が未整備な時代に創設された制度であり、戦後の日本の経済復興には大きな役割を果たしてきたことを森本議員は評価したうえで、今日の日本の経済構造や国民のライフタイル、とりわけ昨今の経済状況においては、道路だけを聖域すべき時代ではなくなったと改めて指摘。道路特定財源の一般財源化および道路整備のために上乗せされた暫定税率の廃止を民主党はかねてから主張し、世論の声を受けて、昨年の通常国会において福田前政権は平成21年度に一般財源化すると表明、麻生政権も表面的には制度改革に取り組む姿勢をとってきたと、これまでの経緯を振り返った。
そのうえで、政府・与党が進めている道路特定財源の一般財源化の内容は、特別会計への直入をやめ、地方道路整備臨時交付金を廃止して地域活力基盤創造交付金を創設し、新たな交付金は国土交通省所管としてほとんどが道路や公共事業に要する経費に充てられており、看板をすげ替えたにすぎないと批判。また、廃止すべきとした福田前首相の方針に反して、なぜ暫定税率を維持するのか、財務大臣臨時代理の河村官房長官、金子国土交通大臣に答弁を求めた。
河村官房長官は、道路特定財源の一般財源化の定義とは、揮発油税等の歳入を道路整備に義務付けることをやめることであるとして、この意味においては平成21年度から一般財源化を実現していると強弁。地域活力基盤創造交付金は、道路を中心として関連する他のインフラ整備、ソフト事業にも使えるようにしたものだとし、社会資本整備を主目的としていることから国土交通省所管となったと説明した。また、交付するうえで法律を要する事項はないとした。
また、一般財源化すると道路特定財源だった税目の課税根拠が失われるとした福田前首相の発言との整合性について河村官房長官は、揮発油税等の暫定税率のあり方については税制抜本改革時に検討すると主張。地球温暖化問題への国際的取り組み、地方の道路整備の必要性、国・地方の厳しい財政状況等を踏まえ現行の税率水準を維持したと述べた。
金子国交相も同様に、平成21年度より道路特定財源はすべて一般財源化したとあくまで主張。地域活力基盤創造交付金は行政の効率性の観点からも主目的を管轄する国土交通省の所管が適当であると答えた。
次に、国土交通省が、将来の交通量を予測する交通需要推計で2002年の推計を大幅に下方修正したこと、道路整備による経済効果を計る「費用対便益」の計算方法を修正したことを取り上げ、道路行政における政策ミスだと森本議員は批判。また、一箇所の事業費が5〜7億円としてスタートしたスマートインターと称する簡易のインターチェンジが、一箇所あたり120〜130億円を要する事業計画となっていると問題視。地方では普通車が対向できない国道の改良が遅々として進まないなか、のこのような予算配分に怒りをあらわにした。
民主党は、道路をめぐる政策を中央集権の「国のかたち」を変える突破口と位置づけ、道路その他の社会資本整備に係る行政を根本的に改革すべきと考えると表明。大胆な地方分権とあわせた道路行政改革に取り組むよう求めた。
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