民主党は26日午後、公費で介護報酬を3%から10%に引き上げる「介護労働者の人材確保に関する特別措置法案(介護労働者賃金引上げ法案)」を国民新、社民、共産の野党各党と共同で参議院に提出。高齢者等が安心して暮らすことのできる社会を実現するため、重要な役割を担う介護労働者の賃金の向上に資するよう特別措置を定めることにより、介護を担う優れた人材を確保し、介護サービスの水準の向上を図ることを目的とするもの。
民主党からは直嶋正行政策調査会長、福山哲郎政調会長代理、梅村聡、川合孝典、中村哲治各議員が出席し、提出後に国会内で会見した。
直嶋政調会長はまず、有効求人倍率0.7という厳しい雇用情勢においても介護職の求人は約2.3、東京都では5超ともいわれる数字が物語る介護現場の人材不足について、その最大の原因は処遇、特に過去2回の介護報酬引き下げ(マイナス4.7%)によってもたらされた賃金の低さにあると分析。4月から介護報酬を3%アップするという政府案ではほとんど人経費には反映されないと指摘したうえで、同法案は確実に賃金に反映されるものだと強調、現状の介護労働者への賃金引上げに加え、新たな雇用創出に繋がるものだと法案の趣旨を語った。
梅村聡議員は、法案内容について、介護を担う優れた人材を確保できるようにするため、平成21年4月から、事業所に対して、介護報酬を7%加算する介護報酬の緊急改定を行うものであり、財源規模は約4100億円と推計し、この増額分がすべて人件費にまわった場合には、介護労働者約80万人(常勤換算)に対して、一人当たり月額4万円程度の賃金引上げが可能になると説明。具体的には、届出事業者が保険者である市町村に対し7%分の使用計画書として(1)雇用管理の現状、(2)講じようとする措置を届け出て加算介護報酬を請求、これに基づき市町村が加算介護報酬を支払うことするとした。
2年目以降は、この加算介護報酬についての実施状況の報告を義務づけ、問題がある場合には市町村から助言・指導、勧告、立ち入り検査、支給停止、不正利得の徴収などの措置がとられ、確実に介護労働者の賃金引上げ、もしくは人員増のため等の人権費に充てていくことが可能だとして、来年度からの実施を目指す方針を述べた。
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