党裁判員制度実施に向けた環境整備等の検証プロジェクトチーム(PT)事務局長の細川律夫衆議院議員(『次の内閣』ネクスト法務大臣)はじめ、加藤公一衆議院議員、松岡徹、松野信夫両参議院議員は1日、法務省を訪れ、森法務大臣に「裁判員制度実施に向けた環境整備等に関する意見書」(下記ダウンロード参照)を手渡した。
PTでは、5月に裁判員制度がスタートすることを踏まえ、(1)国民への周知・広報は十分か、(2)民間事業所等における裁判員休暇制度の整備は進んでいるか、(3)育児・介護等を要する家族を有する者のための一時預かりサービス等の受入れ態勢の準備は進んでいるか、(4)日当の額は適当か、(5)死刑判決の評議方法を見直す必要はないか、(6)裁判員の秘密漏示や出頭拒否への処罰・過料の適用・運用はどうあるべきか、(7)裁判員裁判において被告人の防御権、公正な裁判は保障されるか――など、裁判員となる国民の負担軽減のための環境整備状況を検証するとともに裁判員法及び関連法令の一部見直しの必要性の有無について、関係各方面からヒアリングし検討を重ねてきた。
意見書では一連のヒアリングを通じての「結語」として、「裁判員制度の円滑なスタートにあたり懸念すべき点は残されているものの、それらの多くは制度への国民の理解と法曹3者の適切な運営と努力によって解決すべきであると考える」としたうえで、早急な法改正や制度改正、今後の運用情況を見ての法改正を含む見直しが必要と判断する点として、以下の8項目を指摘した。
■早急に法改正が必要と考える項目
(1)取り調べの全過程の録音・録画と検察官手持ち全証拠のリスト開示義務づけ。
■早急に裁判員制度にかかる法制度改正が必要と考える項目
(2)裁判員日当の適切な額への引き上げ(現在1万円となっている「日当」の適切な額への引上げ。法文で「日当」とされているために他との横並びの関係で額の引上げが難しい現状を踏まえて「日当」を「手当」等に改める)
(3)一時保育サービスや介護サービスを利用した場合の自己負担費用相当額の支給
■運用の状況を見たうえで法改正を含めた見直しが必要と考える項目
(4)裁判員の秘密漏示や出頭拒否への制裁の弾力的運用
(5)保釈による防御権の保障(「人質司法」からの脱却)
(6)新たな争点や証拠の提出制限の見直し
(7)その他部分判決の見直しなど被告人の防御権と公正な裁判の保障についての阻害要因の除去
(8)裁判員が参加しやすい環境作り(裁判所内への託児施設設置など)
提出後に細川議員は記者団に対し、意見書提出に対して森法相からは民主党の取り組みへの謝意が示されるとともに、スムーズな運用が大事だとの認識が示され、「きちんと対応していく」との意向が示されたことを明らかにした。
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