階猛議員は16日午前、衆議院消費者問題に関する特別委員会で質問に立ち、麻生首相と野田消費者行政推進担当大臣に見解を質した。
階議員は冒頭、麻生首相が設置した「安心社会実現会議」に関して、「今までの日本は安心がなかったのか。だからこそ安心社会をこれから実現していかなければならないということではないか」と疑問を投げかけ、医療・介護分野をはじめ「安心社会にほころびが出ている」との認識を述べた麻生首相に対し、それならば安心社会の「実現」ではなく「修正」とすべきではないかと皮肉った。
続いて本題に入った階議員は、消費者行政新組織に関して、民主党案を大胆に取り入れたかたちで与野党の修正協議が合意に達したことについて、「評価をいただいたと思う」と表明。そのうえで、消費者設置法第3条において「消費者の擁護及び増進」が任務とされている以上、重大事故には財産上の問題も含むべきではないかと主張。また、地方消費生活センターと消費生活相談員は国の責任で充実させるべきではないか、被害にあった消費者の救済の仕組みは早急に立法化すべきではないかと指摘し、政府の見解を質した。
野田大臣は財産上の問題について、消費者庁設置後、消費者の財産に対して重大な被害を与える隙間事案に対しては行政として何らかの対応を検討することは重大な課題と認識していると回答。地方消費生活センターと消費生活相談員に対しては、「責任をもって最大限支援していくことが重要」だと明言、実効的な被害者救済の仕組みを充実させていくことが重要な課題だとして前向きに検討していく姿勢を示した。
次に階議員は、地方消費者行政について、その充実にとって一番必要なものは何かと質問。麻生首相は「大都市以外では消費生活センターがない地域がかなりある」として、まずは相談窓口の設置拡充と強化、相談員の充実を図るべきとの認識を示した。
それを受けて階議員は、地方の消費生活センターは市町村レベルではなく複数の市町村が加入する「広域連合」で設置した方が消費者行政が活性化するとの見解もあると紹介。消費者生活相談員の志気と技能を高める必要性も併せて指摘した。
野田大臣は、理想は各市町村に設置することとしながらも、「広域連合」での設置も選択肢の一つであると答弁、地域の実情に応じて効率的に運営することが重要だとした。また、消費者生活相談員のやる気、専門性が重要であるとして、このたび修正協議で合意した措置に加え、処遇改善についてはさらに促進させるべく検討していくと答えた。
階議員は最後に、消費者委員会に対して、なぜ独自の調査権を与えることができないのかとして、既存の機関として金融庁の下に証券監視委員会(SEC)を設置して独自の調査権を認めている前例を取り上げ、改めて政府が指摘する二重行政には当たらないと主張した。また、消費者庁が適切な権限行使を行い、真に消費者から信頼を得るためには、消費者庁もまた消費者委員会によるチェックを受ける必要があるのではないかと提起。麻生首相も「消費者からの信頼が一番」と応じ、チェック機能が働く仕組みになっているとしたうえで、今後制度実施後必要あれば修正していくべきとの考えを述べた。
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