いわゆるメディア規制3法案の一つ、人権擁護法案の審議が24日始まり、参議院本会議で福山哲郎議員が政府案に対し代表質問を行った。
冒頭、福山議員は、大阪高検公安部長が暴力団と共謀して起こした詐欺事件に言及。検察が暴力団と恒常的に癒着しているのではないかとの国民の疑義の声もあることを森山法相らに指摘した。
福山議員は、「人権の時代」と言われる21世紀を迎えてもなお人権侵害が繰り返されており、被害者救済制度の整備が急務であるが、人権擁護法案は、そんな時代の要請にもかかわらず大きな失望を持って迎えられていると指摘。その理由として、(1)国連人権規約委員会からの勧告に反し、本法案は法務省からの独立性を確保できるかどうか不確かである、(2)報道機関による人権侵害に対して過剰な規制となっている──の2点を挙げた。
最大の問題点である人権委員会の独立性の欠如については、本法案が同委員会を法務省の外局としているため、同じ省の矯正局や入管管理局で行われる人権侵害はもちろん、警察など他省庁の不祥事への救済も期待できないとして、「独立性確保のため、内閣府の外局とすべきだ」とし、法相、内閣官房長官に提起した。
報道機関への過剰規制については、民主主義の基盤をなす「国民の知る権利」を守るためにも、報道機関による人権侵害を人権委員会による任意調査や助言などの「一般救済手続」の下におき、強制調査や訴訟参加などの「特別救済手続」は報道機関を適用除外とすること、報道機関は自主的な救済に向けた取り組みを行うよう努めることを提案した。
民主党は先月はじめ、人権委員会を内閣府に置き、地方にも人権委員会をつくること、報道機関に対しては一般救済手続にとどめることなどを骨子とする「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案大綱」をまとめたが、この内容をもとに政府案に対する大幅な修正案を提出する方針を18日のネクストキャビネットで決定した。
|