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2009/04/23
【参院法務委】取調べ可視化法案可決 冤罪を防ぎ裁判員制度の前提条件として必要 松浦議員が質問
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 参議院法務委員会で23日午前、警察などでの取調べの録音や録画を義務化する「刑事訴訟法の一部を改正する法律案(取調べの録画・録音による可視化法案)=民主党提出」(下記関連記事参照)の質疑が行われ、民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟議員が質問に立った。

 冒頭、法案発議者の松岡徹議員が趣旨説明を行い、警察等での取調べが密室で行われるため、自白の強要などによる冤罪を生む温床となっているとの観点から、(1)ビデオ等の録画・録音による取調べの可視化、(2)録画等のない自白の証拠能力の否認、(3)検察官手持ち証拠リストの開示――を主な内容とし、段階的適用を定めていることを明らかにした。

 松浦議員はいよいよ来月から裁判員制度が始まり、司法の大改革が行われようとしている、もしこれが成功すれば司法の改革のみならず、社会のあり方も大きく変わるだろうとのとの認識を示したうえで、同制度をうまく機能させるためにはいくつかのサブシステムを適切に配置することが肝要と指摘。「証拠リストの開示」「代用監獄制度の廃止」「公正な公判前整理手続き」「法学リテラシー教育」などのサブシステムを適切に配置することが肝要と指摘。「取調べ可視化」もそのひとつだと述べ、諸外国は整備済みであるとした。

 そのうえで全面可視化に向けた見解を森法務大臣と刑事局長に質問。森法務相は全面可視化によって「取調べの機能を損ない、真相を解明できない事態に陥る可能性がある」との認識を示し、刑事局長とともに全面可視化に消極的な姿勢を改めて表明した。

 そうした答弁を受けて松浦議員は、刑事裁判においては「百人の罪人を放免するとも一人の無辜の民を刑するなかれ」という推定無辜の原則が採用されているが、全面可視化に反対している警察官僚の主張を聞いていると少々のことには目をつぶっても「ホシ」を挙げることを優先する姿勢が透けて見えると指摘。民主党案の発議者に対して、「刑法の推定無罪の原則を踏まえて、なぜ取り調べの全面可視化が必要なのか」を、改めて説明を求めた。

 法案発議者の前川清成議員は、「ふたつの意味で必要だ」として、第一に冤罪をなくすために、第二には裁判員制度の基礎的な前提条件として必要だと答弁した。前川議員は、捜査段階では、捜査官が仕事に熱心なあまり、あるいは被害者や世論のきびしい処罰感情であったり、捜査官本人が凄惨な犯罪現場に赴いた経験等によって時として厳しく被疑者と向かい合って、無理やりに自白を獲得しようとすることが往々にしてあると指摘。「真実でない自白に基づいて裁判がなされてしまったならば、冤罪を生み出すことになる」と前川議員は述べ、冤罪をなくすために憲法の規定からさらに一歩先に進めて世界水準の全面可視化を導入することが必要だとした。

 続いて松浦議員は法務大臣らの答弁を踏まえて、取調べの可視化の導入によって自白率が下がることはあり得るかを質問。

 法案発議者の松野信夫議員は、諸外国の事例も踏まえて「自白率が下がったという報告は聞いていない」と述べ、むしろ逆で、不当な取調べが行われていたのではないかといった疑いが払拭し、取調べに対する非難の減少にも繋がると述べた。

 松浦議員は「お話を伺えば伺うほど可視化はいいことずくめではないか」と語った。

 同法案は、野党の賛成多数で可決された。

関連URL
  「取調べの録画・録音による可視化法案」を参議院へ提出
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=15635
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