民主党は24日午前、国際的な協調のもと、地球環境・生態系の破壊を食い止めながら、経済成長や豊かなライフスタイルの実現とともに脱温暖化社会をめざすとする「地球温暖化対策基本法案」を参議院に提出。現下の経済情勢の変化、米国のオバマ政権誕生による地球温暖化対策を巡る国際情勢の変化等を踏まえ、より経済成長を視野に入れたかたちで、昨年提出した同法案を一部修正した。
法案発議者を代表して、直嶋正行政調会長、福山哲郎政調会長代理、岡崎トミ子『次の内閣』ネクスト環境大臣、増子輝彦同ネクスト経済産業大臣、前田武志・党企業団体対策委員長、中谷智司、舟山康江両議員が出席した。
法案提出後には、地球温暖化対策本部長の岡田克也副代表も同席して記者会見が行われた。
会見で直嶋政調会長は、昨年提出した同法案をバージョンアップしたものだと説明。基本的な考え方に変わりはないが、より踏み込んで示したものだと述べた。
岡田副代表は、前回の法案には明記されなかったグリーンニューディールの視点を取り入れたこと、経済発展との調和、エネルギー安定供給との両立などを明記するとともに、特に固定価格買取制度の創設を盛り込んだことなど、前回の提出法案から前進させた大きな意義を強調。大きな状況変化を踏まえ、より具体化するとの観点で修正したことを明らかにした。
そのうえで、「最大の肝は、中期目標として温室効果ガス削減目標、2020年までに25%の削減をきちんと謳っていること」だと述べ、国民の負担ばかりが強調されている政府案との違いを説明。経済対策においては景気効果、雇用創出効果を主張しておきながら、地球温暖化対策の中期目標では負担ばかりが強調され、政府内の主張が分裂している点を問題視した。民主党案では国際的に求められている目標値の25%を明確に掲げ、その実現に向けてのメニューをしっかりと示したことが特徴だとした。
福山政調会長代理は、法案では目標を達成するための15項目の基本政策を明記し、地方へ財政支援、国際協力の推進、教育学習の振興、革新的な技術開発等を盛り込み、全般的に2050年までの日本のライフスタイルを変化させていくことを見込んで法案を提出したと説明。直近の課題としては、政権をとれば「今年12月にコペンハーゲンで開催されるポスト京都議定書を議論するCOP15において、この法案をもって基本的な日本のポジションとして交渉にあたり、米国、中国、インドなどの途上国を含めたかたちでの議定書締結に向けて対応していきたい」との考えを表明し、「未来に夢がもてるかたちへの第一歩として国民の皆さんに提示をしていきたい」と語った。
固定価格買取制度検討チームの座長でもある増子ネクスト経産相は、来週中にも一定の方向性がまとめる予定だとの見通しを明示した。
岡崎ネクスト環境相は、「夢を描ける新エネルギーで新しい緑を柱とした産業構造の転換を図っていこうと結束している」として、一刻も早く成立させたいと語った。
前田議員は、党で取り組んでいるマイフォームのリフォーム政策にも言及し、経済効果、大きな雇用を生み出すと述べ、新築住宅の省エネ政策重視の政府案との違いを強調した。
岡田本部長は最後に、京都議定書で定めた削減目標に向けてこれまで過去10年、ほとんど何も行ってこなかった結果、2020年までの25%の削減が難しい状況になっているとして、政府の対応を厳しく非難。「地球温暖化という視点をもって一定の方向性、仕組みをつくっておけばドイツのように自然エネルギーを導入できた可能性もあった」として、その責任をまず自覚してもらいたいと語気を強めた。
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