いわゆるシックハウス対策を盛りこんだ建築基準法改正案に関する参議院国土交通委員会での審議の最終日となった25日、谷林正昭議員が質問に立ち、民主党が対案として提出しているシックハウス対策法案(建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案)の趣旨も踏まえ、政府に今後の対策の一層の強化を求めた。政府側の前向きの答弁を得て民主党は政府案に賛成、与党、民主党の賛成多数で可決した。
法案には附帯決議が付され、「室内空気汚染による健康影響が生ずると認められる化学物質については、全て規制対象とするよう、関係省庁間の連携を図りつつ、室内空気中の化学物質の濃度の実態や発生源、発散量等の調査研究を進め、その結果が得られたものから、順次、規制対象に追加すること」「建築基準については、室内空気中の化学物質の濃度を厚生労働省の指針値以下に抑制するために、通常必要な建築材料及び換気設備の基準を適切に定めるとともに、改正法の施行後に実態調査を行い、必要に応じて、その見直しに務めること」など、民主党の主張が盛り込まれた。
谷林議員は質疑の中で、この法案審議を通じてシックハウス問題の深刻さに関する政府・与野党間の共通認識が深まったと前置きした上で、今後の取り組みとして(1)被害未然防止のため規制物質をホルムアルデヒドとクロルピリホス以外にも早急に追加する、(2)濃度抑制のためトルエンなどの使用についてガイドラインを設ける、(3)2物質だけが基準を満たしても現実にシックハウス症候群が生じた場合、建築業者に免罪符を与えない、(4)既存の住宅性能表示制度に基づく濃度測定の活用を後押しする、(5)今後の技術進歩を踏まえ可能なところから規制基準に濃度の実測値を加える──の5点を求めた。
谷林議員の質問に対し国土交通省の三沢住宅局長は、(1)調査の結果、発生源が特定され発生量と室内濃度の基準を明確にできるものは政令で追加していく、(2)法施行までにガイドラインを作り、可能な限りの濃度抑制を図る、(3)消費者への正確な情報提供に務める、(4)中古住宅も対象に加えるとともに、相談や法律家のアドバイスを受けられる体制を整備する、(5)濃度の実測値を規制基準とするのは現状では難しいが、信頼性・安定性・簡便性などが確保できコストも低下する、測定結果を改善する具体的対策方法があるなどの条件が整えば、濃度測定結果を規制基準にすることも検討課題になりうる──などと答弁した。
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