菅直人代表代行は7日午後、衆院予算委員会で行われた補正予算に関する基本的質疑で質問に立ち、この国のかたちを官僚集権国家から、地方主権国家に変えることを提案し、麻生首相と論戦した。
冒頭、菅代表代行は、新型インフルエンザの問題を取り上げ、秋に向けた対策が重要であると指摘、そのうえで、この問題では協力すべきところは協力すると表明した。
次に、補正予算に関して、麻生首相のもとでの4回目の予算提出であり、これは予算が「目先、目先に追われた結果であり、先行きを見通せなかったからである」と批判した。首相は、予想を上回る経済の落ち込みの結果であると答えた。
また、菅代表代行は、14兆円を超える今回の予算には意味のないものが含まれているとして、その象徴として3、4、5歳の子を持つ親に支給する3万6000円の子育て応援特別手当を取り上げ、1回きりの支援では、少子化対策にはならないと批判して、民主党の恒久的支援策である月2万6000円の子ども手当の優位性を説いた。与謝野財務大臣は、民主党案では財源が不明であり、十分な検討が必要で、持続可能性からも疑問との認識を示した。
さらに、今回の補正予算では基金が多く積まれていることを指摘、これは、実際に予算を執行する態勢が整わないため、とりあえず、基金として確保しようという、まさに官僚が積み上げた予算の結果ではないかと質した。財務相は、46基金に4兆3000億円を積み立てたと答えた。
菅代表代行はこの基金のうち特に緊急人材育成基金を取り上げ、これは、野党が提出した求職支援法案と考え方が似ているとしたうえで、7000億円で35万人の職業訓練を実施、その間の生活支援を行うとしているが、その態勢はできているのかを質した。舛添厚生労働大臣は、「走りながら考える」として、野党の協力を求めた。
また、税収と国債発行額に触れ、この間、官僚が自分たちの仕事を増やすために、経済成長率と関係なく国債の発行を続けてきた結果、債務残高は国と地方と合わせて、816兆円にも達し、GDP比1・7倍という財政危機の状況となっていることを指摘。こうした現状を変えるためには、明治以来の国のかたちを変えることが必要であると主張した。
さらに、菅代表代行は、現状を官僚集権国家であるとして、これを補完性の原理に基づき、国の仕事を法で限定し、それ以外のことはすべて地方に任せるべき、地方主権国家に変えるべきであるとの見解を示し、首相に見解を質した。
首相は、官僚は使いこなすべきものであり、使いこなすのは国会議員の責任としたうえで、地方分権に徐々に進んでいくものと答弁した。
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