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2002/05/07
【衆院事態特】玄葉議員、武力攻撃事態における米軍支援のあり方質す
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 7日、衆議院の武力攻撃事態への対処に関する特別委員会において、民主党の岡田議員に続いて質問に立った玄葉光一郎議員は、武力攻撃事態対処法案における「武力攻撃事態」の規定のあいまいさなどについて、政府の見解を質した。

 玄葉議員は冒頭、昨年12月に奄美大島沖で海上保安庁の巡視船と銃撃戦の末に沈没した不審船事件で、首相官邸が当初、同船を「中国の密輸船」と判断していたことを例に挙げ、「内閣によって情報収集・分析が的確に行われなければ、武力攻撃事態への的確な対処も事前の予防もできないが、現状はまったくお粗末」と批判。

 また、「情報の漏洩が米国など各国との安全保障上の情報交換などの障害になっている。私は国民の『知る権利』を保障するという観点から政府の個人情報保護法案には反対の立場だし、情報公開法の機密の範囲はもっと限定すべきと考えるが、本当に限定された機密は守られなければならない。政府の情報体制のあり方について認識を改めて欲しい」と表明した。小泉首相は「いかに国内外情勢を的確に把握し人員を的確に配置していくか、限度というものはないが、できるだけの体制をとって誤りのない対応をしたい」「機密情報かどうかの線引きはなかなか難しい」などと述べるにとどまった。

 続いて玄葉議員は、武力攻撃事態対処法案の規定する「武力攻撃事態」すなわち「武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態又は事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」が、周辺事態法1条の定める「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」とどこまで重なり合うのか、両法の規定する事態が併存する場合があるのかと質した。

 玄葉議員は、周辺事態法に関する政府統一見解で示された(1)日本周辺地域で武力紛争の発生が差し迫っている(2)日本周辺地域で武力紛争が発生している(3)日本周辺地域での武力紛争が一応停止したが、秩序の回復・維持が達成されていない(4)ある国で内乱、内戦などの事態が発生し、純然たる国内問題にとどまらず、国際的に拡大している(5)ある国の政治体制の混乱などにより、大量の避難民が日本に流入する可能性が高まっている(6)ある国の行動が平和に対する脅威などと決定され、国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となる──の6類型のそれぞれに即して明らかにするよう求めたが、中谷防衛庁長官は、「6つのケースすべて、状況によっては武力攻撃事態に該当する可能性がある。状況の推移を注視しなければならない」との答弁に終始。玄葉議員は、「これでは、武力攻撃事態の範囲がきわめて広がってしまうのではないか」と中谷答弁を批判した。

 玄葉議員はまた、「周辺事態」と「武力攻撃事態」が併存する場合に、米軍に対する武器・弾薬の提供などの支援をどのように行うのか質した。川口外相は、武力攻撃事態における米軍支援の具体的あり方については「これから検討する」との答弁にとどまった。玄葉議員が「日本の自衛権の行使にあたる場合でも武器・弾薬の提供はこれから検討するのか」と重ねて質すと、川口外相は「自衛権行使の範囲でできると思うが、法整備はこれから」と繰り返した。

 玄葉議員が「仮に朝鮮半島で武力紛争が起きてしまい、これが周辺事態・武力攻撃事態の併存事態と認定された場合に、米軍は日本の提供する武器・弾薬を朝鮮半島で使用できるのか」と質すと、中谷防衛庁長官は「一概には言えないが、他の地域での周辺事態には使用できない。区分して支援を行う」と答弁。玄葉議員は「虚構の議論だ。オペレーション上は法律の使い分けは全くナンセンス」と切り返した。

 玄葉議員はさらに、法案5条、7条で住民の生命・身体・財産の保護に関する措置の実施についての地方自治体の責務、国との役割分担が規定されていることに関して「具体的なことは何も書かれていない。自治体は何を求められるのか」と質した。片山総務相は「今後の個別法制の整備の中で、例えば警報発令、被災者救助、避難の誘導など、地方公共団体の意向を十分に体して法整備を行いたい」と答弁したが、玄葉議員は「国民にとって最も重要な避難誘導などが今回提出された法案から抜け落ちているのは問題。最近危惧されているサイバーテロへの対応もない。本来はこれらを一緒にそろえて法案提出すべきだった」と政府の拙速な法案提出を強く批判した。

 最後に玄葉議員は、「泥沼化を防ぐため、対処措置の終了について、その判断にぜひ国会が関与できるようにすべきだ。国会が意思表示したらそれを政府は尊重するのか」と質した。福田官房長官は「事態が終了し、一連の対処を継続する必要がなくなった場合には国会に報告する。その際に国会の意思表示があれば尊重する」と答えた。玄葉議員は「国会が(対処を終了すべきと)意思表示した場合には、これを尊重するのか」と重ねて質したが、官房長官は同じ答弁を繰り返すにとどまった。玄葉議員は「米国の法律でも連邦議会が決議すれば対処をやめなければならないこととなっている。本来そうあるべきもの」と述べて質問を締めくくった。

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