民主党はじめ社民、国民新の野党3党は22日午前、政府提出の「育児介護休業法等改正案」に対して、「育休切り」防止策等を盛り込んだ修正案を衆議院厚生労働委員会理事会に提出。山井和則『次の内閣』ネクスト厚生労働副大臣の司会のもと、法案提出者の西村智奈美、郡和子両衆議院議員が修正内容について国会内で説明を行った。
西村議員は政府から提出されている育児介護休業法等改正案について、「基本的に方向性としては野党が主張してきた項目がかなり盛り込まれている。方向性としては賛同できるものである」としたうえで、「しかし、現状の雇用環境を見るとまだまだ男女の労働条件の格差が見られる。そのことによって父親の育児休業取得などが依然として進んでいない。また、きびしい雇用環境・経済状況のなかで、いわゆる『育休切り』が起きている」と指摘。そうした点を踏まえて「さらに政府案の考え方を進めたいということで提出したのが今回の修正案である」と述べた。
修正項目は(1)現行法では休業申し出時点の雇用期間が1年以上としている期間雇用者の育児休業及び介護休業の申し出要件を6カ月以上であれば申出を可能とする要件の緩和、(2)現行法や政府案にはない特例措置として母子家庭及び父子家庭についての育児休業期間及び子の看護休暇の延長、(3)父母がともに育児休業を取得する場合の特例期間の延長、(4)育児休業中の待遇や休業後の賃金等の労働条件等の明示の義務化、(5)所定外労働の制限、所定労働時間の短縮措置の対象を小学校就学前の子を養育する労働者まで拡大(政府案では3歳まで義務、小学校就学前まで努力義務)、(6)政府案では努力義務となっている始業時刻変更等の措置を小学校就学前の子を養育する労働者に対する事業主に義務化、(7)政府案では1年を超えない範囲内としている施行期日を3月を超えない範囲内において政令で定める日と短縮――等の内容。
郡議員は厚生労働省・雇用均等・児童家庭局から示された「厚生労働省提出資料」を踏まえて、育児休業に係る不利益取り扱いとして平成20年度の相談件数1262件であることにふれ、「実態よりもかなり低いと見ている」と指摘。それに加え、その中身として「雇用均等室に連絡があったが、その後の相談を希望しなかった」とされる、いわゆる「泣き寝入り」ともいえる「やむを得ず退職」に至るケースがかなりの数に上ることを問題視。さらには、当該相談者ではなく「今後は改善していく」という回答が事業者側から示されることが多く、「結局は子どもを産み育てて職場に復帰するのが困難な状況にある」ことが明らかになったと分析。「厳しい経済状況下であるが、中長期的に見て、子どもを安心して産み育てながら、男性も女性も働き続けられる社会を作っていくためにも改正が求められている」と語った。
山井ネクスト厚生労働副相は「育休に入った3日後に契約打ち切りの通知が届いた」「育休から戻ったら『復帰するとは思わなかった』『復帰できないと言ったはず』と事業主から言われたうえ、交渉後に職場復帰したらいじめが始まり、2人目の妊娠を告げたら即日解雇」といった育休切り被害者の実例を紹介したうえで、「極悪非道な現状が放置されている」と指摘。最近深刻化している現状をふまえても迅速な法整備が不可欠だとした。
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