岡田克也幹事長は29日午後、党本部で定例会見し、麻生首相が自ら指示した厚生労働省の分割・再編案を事実上撤回した背景には「族議員の調整がつかなかったこと」があるとの見方を示し、リーダーシップを発揮できない首相は解散・総選挙で国民の信を仰ぐべきだと語った。
会見ではまず、09年度補正予算案に関して、同日午後の参議院本会議で採決され、「最終的には決着がつくことになった」としたうえで、その中身について衆参両院の予算委員会審議でも明らかにしてきたように「非常に大きな問題がある。大きなムダ遣いがあると思っている」と改めて指摘。「そのことは基金の問題をはじめ、具体的に指摘をし、国民の皆さんにもかなり伝わったのではないかと思っている」との認識を示した。
そのうえで、「議論したいという気はあるが、いたずらに引き延ばすつもりはない。したがって、与党の方がぜひ採決をということであれば、喜んでということではないが、採決に応じて成立させるのはやむを得ないことだと思っている」と語った。また、今後の予算関連法案の議論についても「いたずらに引き延ばすつもりはない。しかし、中身のしっかりとした議論は必要なので、そうした考え方に立って進めていく」と述べた。
岡田幹事長はまた、数カ月後に民主党が政権をとった場合、補正予算の執行停止、組み替えも視野に入れているかとの記者の問いには「当然考えられる」としたうえで、「補正予算に限らず、今年度予算についてもそうだ」とした。
さらに、「昨日の総理のぶらさがりを見て愕然としたのは私だけではないと思う」と語った幹事長は、麻生首相が自ら検討を指示した厚生労働省の分割・再編について「こだわっていない」と発言し、事実上撤回したことについて「自民党内の族議員の調整がつかなかった。そこにリーダーシップのかけらもなかったということである」と指摘。幼保一元化の重要性を認識しながらも幼稚園を所管する文部科学省とその背後にいる文教族、保育園を所管する厚生労働省と厚労族、ここの族議員の調整がつかなかったことで「総理の発言が簡単に撤回された」ものであるとした。
「これでこの国は大丈夫かという思いを強くしている」と語った岡田幹事長は、「こういう総理に早く辞めていただく。解散して国民の判断を(仰いで)いただくということだと思っている」と述べ、いつ解散・総選挙があってもいいように、民主党としては準備を整えていくと表明した。
岡田幹事長はさらに、同日、韓国・ソウルで行われている盧武鉉前大統領の国民葬に、民主党からは党を代表して藤井裕久最高顧問が出席していることを報告した。
また、国会の会期延長に動きに関しては、「延長して具体的に何をしたいのかがはっきりしないといけない。何と何を議論するかを明らかにするのが本来である」とまず指摘。「何を議論するかということが明らでないまま、日にちだけが先行しているのは極めて遺憾。そこについて(与党から)説得力のある説明をお聞きしたい。必要があれば延長ということもあるかもしれないが、今のところ納得できる説明は受けていない」と述べ、まるで延長が先にありきのような議論が行われているのは極めて遺憾であると重ねて語った。
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