鳩山由紀夫代表は18日午後、党本部に水俣病互助会、水俣病被害者互助会の皆さんを迎えて面談し、要望書を受け取った。
面談には、岡崎トミ子『次の内閣』ネクスト環境大臣、直嶋正行政調会長、党水俣病作業チーム座長の松野信夫参議院議員、同事務局長の大島九州男参議院議員、末松義規衆議院議員も同席した。
水俣病被害者の問題をめぐって、民主党は4月17日、水俣病の被害者すべての救済を図るため、水俣病被害者給付金及び医療費等の支給について必要な事項を定めるとともに、健康管理事業、特定疾病多発地域に居住していた者等の健康に係る調査研究について定めた「水俣病被害の救済に関する特別措置法案」を参議院に提出(下記関連記事参照)。一方、与党は、「チッソ分社化」と「地域指定解除」を盛り込んだ法案を提出している。
示された要望書では「与党の法案は被害者への一時金等の支払を名目に、加害企業を免責するものであり、1973年第一次訴訟判決と被害者がチッソ東京本社での自主交渉で勝ち取った協定書が加害企業のチッソの消滅により無効となりかねず、被害者としては到底、容認できるものではない」と断じている。
同時に「一方、民主党法案は関西訴訟最高裁判決を踏まえ、基本的人権と被害者の立場を尊重したものであり、与党案とは次元の違うものと感じている。民主党案を基本に据え、水俣病解決の道筋をぜひ切り開いていくことを要望する」としている。
「患者の立場に立った救済に向けた法案成立に向けた尽力を」として、水俣病互助会の諫山会長、水俣病被害者互助会の佐藤会長らから要望が示されるとともに、胎児性水俣病患者の坂本しのぶさん母子からも切実な現状を聞かせてもらった。また、与党案については「被害者救済ではなく、加害者・チッソを救済する案だ」との指摘もあった。さらには、政権交代後に民主党政権による解決への期待感も示された。
鳩山代表はわざわざの来党に心から感謝するとともに、「長い年月、水俣病と戦いながら大変なご苦労されてきたことを心からお見舞い申し上げる」と語り、53年もの長きにわたって問題解決に至らず患者の皆さんが苦しみ続けている現状について「政治家の一人として申し訳ない」と謝意を示した。
そのうえで、昨日行われた党首討論での議論をふまえて、「ひとりの命も粗末にしない、そういう社会を作りたいと申し上げた」と説明し、「多くの命が非常に粗末に扱われてしまっている、そこに政治の責任が強く感じられるなかで何とかこの国を変えなければならないという思いを強く感じているところである」と改めて表明した。
民主党では松野・党水俣病作業チーム座長を中心にこの問題に取り組んでいると明かしたうえで、与党と野党間で認識にかなりの開きがあり、なかなか溝が埋まらない現状にあるとの認識を示すともに、「できるだけ早い解決」「多くの被害者の方々の気持ちを大事にする解決」を目指したいとした。
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