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2009/06/19
【参院本会議】海賊対処法案否決 「国会の事前承認が条件」一川議員が反対討論
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 参議院本会議で19日午前、民主党・新緑風会・国民新・日本の一川保夫議員は海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案について、反対討論に立った。

 一川議員は冒頭、「海賊行為は人類共通の敵であり、各国が連携して対策を講じる必要があると強く認識している」と改めて指摘。特に、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策については、国連安保理決議も出され、各国に積極的な取り組みが要請されており、国際社会への貢献であると考えられるとも表明した。

 民主党の主張についてはまた、海賊対策は一義的に海上保安庁の責務と考えており、そのため、海上保安庁が対応できるよう、体制の整備を図る必要があると一川議員は説明。海上保安庁のみで対応が困難な場合は、シビリアン・コントロールを徹底する見地から、国会の事前承認を得るとともに内閣に設ける海賊対処本部の一員とする仕組みのなかで、自衛隊派遣も認めるものであるとした。また、武器使用基準の拡大についても、海上における警察活動であることから、警察官職務執行法に認められた武器使用に加え、海賊行為を未然に防ぐための危害射撃を行うことも、その必要性を認めるものであると訴えた。

 そのうえで一川議員は、政府から提出された「海賊対処法案」は、海賊対処は海上保安庁が一義的とされながら、防衛大臣が「特別の必要がある場合」を判断し、閣議を経て自衛隊を出すことが可能となっている点を問題視。「法案提出前に、まず自衛隊の派遣ありきで、海上保安庁は本当に対応が困難なのかという検討を先送りしたまま、わが国周辺海域を想定し、かつ恒常的行動とは考えていない海上警備行動を根拠として、海上自衛隊を泥縄式に派遣したことは、極めて問題であるといわざるを得ない」と批判した。

 日本の周辺を越える海域での海賊対処にあたっては、国際協力の観点からも海賊対処のための本部を設置し、オール・ジャパンの体制で活動を行うことが必要と重ねて一川議員は指摘。同時に、対応困難な場合の判断は海上保安庁が行い、国土交通大臣が海賊対処本部の設置を内閣総理大臣に要請する仕組みを整えることで、海上保安庁に説明責任を果たさせ、自衛隊という実力部隊を遠洋に派遣することから、国会の事前承認が必須であるとも重ねて語った。

 そうした認識に立って民主党は、与党との修正協議に真摯に臨んできたが、与党からは「修正の必要なし」と的外れな回答しか示されなかったとした一川議員は、最高、最良の修正を民主党が提案したにもかかわらず、与党はその本質を全く理解しないままにゼロ回答であったことに抗議の意を表するとともに、修正協議の決裂をうけて、本法案には反対せざるを得ないとして反対討論を締めくくった。

 討論終局後、採決が行われ、賛成99票、反対131票で法案は否決された。

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