党農林水産キャラバンは20日と21日の2日間の日程で和歌山県を訪れ、和歌山県第1区の岸本周平総支部長、同2区の阪口直人総支部長、同3区のたまき公良総支部長の地元でそれぞれ、「農業を語る会」を開催した。
冒頭、平野達男参議院議員は「人口減少社会に入っている。今、頑張っている農家に農業を続けてもらい、戸別所得補償の導入で農業従事者を増やしていくことが必要だ」と述べ、民主党が提起している戸別所得補償制度の必要性について訴えた。また、戸別所得補償が行われることで農業を支えているEU諸国や米国の現状について触れ、「今必要なのは基盤整備ではなく、農家の所得を直接支えていく戸別所得補償だと考えている。耕作をすれば収益が増えるような仕組みをつくらなければ農業を続けていくことができない」と述べた。
果樹については、果樹共済制度の必要性や、流通販路等についても新たな企画・支援をできるような体制を構築することが必要だとし、定額的に所得補償をすることは難しいものの、果樹を含めた1次産業をしっかり支えていくシステムを構築したいとした。
会場からは、「農業では食べていくことができない。専業農家が生活していくことができるような社会にすべきではないか」、「農振制度を廃止すべきではないか」、「MA(ミニマムアクセス)米を何とかすべきではないか」、「道路建設よりも農業にお金をかけるべきではないか」と言った意見が出された。
これらの意見に対して、「農業振興地域のあり方、土地利用を地域がしっかりと監視していく事が必要だ。生産緑地については転用させないルールを作っている地域もあるが、まさに、地域が土地利用をどのように考えているのかということに尽きる。特に都市近郊では農振制度の厳格な運用が求められているのではないか」と述べた。また、「地域の首長はどうしても農地転用に流れがちだ。農地がなくなることが地域の人にとって良いのかどうかを考えるべきだ。『線引き制度』を厳格に運用すべきであり、開発すべきところと、そうでないところを区分するコンセンサスが必要だ」とした。
道路建設についても、「これまで道路や橋を造りすぎてきたが、その維持管理だけでも大変な金額になる。この構造を変えていかなければいけない。地域から声をあげてもらいたい」と応えた。
さらに、「民主党はこの『農林水産キャラバン』もそうだが、地域の声を聞くことを重視している。今の農山漁村の状況を作り出してしまったのは、政府・与党が地域の声をしっかりと聞いてこなかった結果ではないか」と述べ、今の与党の姿勢を批判した。
一行は農業集会の他、JAわかやま、JA紀北かわかみ、JA紀南を訪れ、それぞれ組合長らと意見交換を行った。また、紀の川市の「めっけもん広場」をはじめ、柿農家、桃農家等の視察を行い、和歌山県における農業の実態を確認した。
日程終了後、同行した記者団に対して、「農林水産キャラバンで、全国をまわっているが、現場から沢山の意見が出てくるようになった。また内容も深いものが増えてきた。こうした民主党の農業集会を各地で開くことができるようになったのは、民主党への期待だと思う。期待が大きい分、責任も感じている」と農林水産キャラバンへの手応えを述べた。
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