民主党は26日、「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続き及び国民投票法案」(国民投票法案)を衆議院に提出。党憲法調査会長の枝野幸男議員はじめ、法案提出者の園田康博、鈴木克昌各議員が議長室に河野議長を訪ね、手渡した。
「国民投票法を今すぐに制定することは反対だという政党も含め、少なくとも本音ベースでは内容について、全政党が一致できるものを目指して議論していきたい」といった考えを枝野会長が示したのに対し、河野議長はうなずきながら「ぜひよく議論を」と応じた。
民主党案と与党案との政策的な相違点は以下の通り。(1)国民投票の投票権は満18歳以上とし、国会の議決があれば満16歳以上にも投票権を認める。与党案は20歳以上(2)国民投票の対象を与党案では憲法改正案投票のみとしているのに対し、民主党案では国政における重要な問題にかかわる案件についても国民投票を認める(3)憲法改正案に賛成のときは○印を自書し、反対のときは何も記載をしないとする投票方式をとることとし、白票を有効票(反対票)に含めた。与党案は反対の場合は×印を記入し、白票は無効としている(4)与党案にある裁判官、検察官、公安委員会委員、警察官の国民投票運動の禁止、公務員・教職員の地位を利用しての国民投票運動の禁止は民主党案では盛り込まなかった。
法案提出後の会見で枝野会長は「昭和21年の憲法改正以降、言い方を変えれば、帝国議会が国会に変わって以降、提出・審議される法案のなかで、最も重要な法案と考えている」と語り、国会が権限を行使している根拠が憲法であり、主権者である国民の意思を政策に反映すべく議論をするうえでの正当性の根拠、出発点が憲法であることを改めて主張。そうした認識を示したうえで枝野会長は、憲法に関する手続きが公正・中立でないと、その他の議論自体の正当性が疑われることになるとして、国民投票法案の審議はあらゆる案件に優越した重要度をもっているとして、「戦後最大の、最も重要な法案の審議であるということを踏まえた、慎重かつ真摯な議論がなされることを期待したい」と述べた。
同時に、改憲へのステップ、一里塚であるであるとの声が与党議員の間から上がっていることについて、「論外だ」ときびしい口調で批判。「憲法改正のための手続きになるのか、それとも憲法改正を否定するための手続きになるのか、個々の案件ごとにその都度、国民のみなさんが判断するための手続きである」として、憲法改正そのものについては中立的な制度であることを改めて強調した。
さらに、「憲法改正を国民が望んでいないのに、こうした法制度そのものが不要」との主張を展開する国民投票法案不要論の存在にも枝野議員は言及し、「国民の多くが改憲を望んでいないから議論自体が必要ないという議論も成り立たない」と指摘。もしそれが事実であればまさに国民投票を通じて明確にしていかなければならないとした。「改憲派にとっても、護憲派にとっても納得できる法案をつくるということがわれわれに求められる役割だ」と述べ、中立・公正な制度確立へ向け、慎重に取り組んで行く考えを改めて表明した。
なお、会見には古川元久議員も同席した。
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