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2009/06/02
食品安全委員会委員の同意人事案不同意について(談話)
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民主党『次の内閣』ネクスト農林水産大臣
筒井 信隆

 民主党は、政府が提示した国会同意人事案のうち、食品安全委員会委員に、プリオン専門調査会の座長であった吉川泰弘氏を起用する案に不同意とした。

 吉川氏を座長とするプリオン専門調査会は、平成17年10月、米国・カナダについてのデータが「質・量ともに不明な点が多い」ことや両国のリスク管理措置の「遵守を前提に評価せざるを得なかった」ことを理由に、BSEリスクの「科学的同等性を評価することは困難と言わざるを得ない」と結論づけた。しかし、その一方で、日本向けの輸出プログラムが遵守される、すなわち、リスク管理措置が遵守されると仮定した上で、両国の牛肉と国産牛肉のリスクレベルの「差は非常に小さい」と報告した。

 民主党は、そもそも当該専門調査会が、こうした「科学的同等性の判断」について、@「科学的に評価することは困難」と結論づけ、明確な結論を放棄したこと、A「評価することは困難」と結論づけたにもかかわらず、両国のリスク管理措置が遵守されることを前提として、両国の牛肉と国産牛肉のリスクの「差は非常に小さい」と判断したことに重大な問題があると考えている。

 まず、@「科学的同等性の判断」は不可能としたことについては、リスク評価のためのデータが少なければ少ないなりに、その少なさを考慮してリスク評価を行い、また、データが少ないためにリスク推定値が大きくなるのであれば、更にデータを収集し、少しでも確実な結論を得る努力をする必要があったのであり、こうした努力を怠った当該専門調査会には、リスク評価に対する正しい理解が不足していたものとしか到底考えられない(※)。

 つぎに、A両国のリスク管理措置の「遵守を前提に評価せざるを得なかった」こと等を理由に、「科学的同等性の判断」を放棄しておきながら、リスク管理措置が遵守されるという仮定の上で、両国の牛肉と国産牛肉のリスクレベルの「差は非常に小さい」と判断したこと自体、当該専門調査会は科学的態度を欠いているものと言わざるをえない。

 以上のことから、吉川氏を座長とするプリオン専門調査会は、厳密な科学的観点からのみリスク評価を行ったと主張しながら、結局、リスク評価を放棄したに過ぎず、リスク評価のあるべき姿を理解していなかった点で、吉川氏はプリオン専門調査会の座長として適格性を欠いており、一刻も早く辞任すべきであったと考える。よって、吉川氏については、食品安全委員会委員として選任することについて、不同意とすることとしたところである。

(※)以上の考え方については、中西準子氏の以下の文献を参照。「英国、日本のBSE問題から考える 科学者に求められる責任とは何か」『中央公論』(2006.6)「主張 提言 討論の広場 米国産牛肉 輸入再開へ」『毎日新聞』(2005.11)

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