民主党はじめ自民、公明の3党の政調会長、国会対策委員長らは2日午前、民主党と与党がそれぞれ提出している水俣病未認定患者に一時金などを支給する水俣病被害者救済法案をめぐって国会内で協議し、一本化で合意した。民主党からは直嶋正行政調会長、山岡賢次国対委員長、福山哲郎政調会長代理が出席した。
協議においては民主党が修正を求めていた「被害者範囲の拡大及び明定」「特定事業者(現チッソ)」の分社化手続きの厳格化などを中心に話し合われた。
そのうえで、救済措置の対象とする症状について、従来の対象範囲であった「四肢末梢優位(主に手足の末端付近に障害症状が強く表れ、体幹部位に近づくにつれて弱くなったり、正常となっている状態)の感覚障害」に加え、「全身性の感覚障害」や「口周囲の触覚もしくは痛覚の感覚障害」「舌の2点識別覚の障害」「視野が縁のほうから、もしくは不規則に欠けて視界が狭くなる求心性視野狭さく」などの4症状を追加することとした。
なお、大脳皮質障害による知的障害等については、法案に明記しないが、今回の法案の条文では救済措置の範囲とする症状を限定していない。
また、被害者救済ではなく、加害者救済ではないかとの批判があった「特定事業者(現チッソ)」の分社化については、分社化の前提である事業再編計画の環境大臣認可はチッソが政府の救済措置の方針に基づく一時金の支払に同意するまでは行わないこととする修正を加えた。
さらに加えて、「救済より分社化優先」との誤解が生じないよう、以下の修正を行った。すなわち、分社化後の特定事業者(現チッソ)は、法案の規律を受けることから、紛争が終結しなければ、会社法上解散できないことは明らかにしたが、加えて地域の紛争が真に解決しなければ水俣病問題の最終解決は図られないものであって「幕引き法」といった印象を与えないよう、法案名から「最終」の文言を削り、法案の実体的な規定についても「最終解決」との文言から「最終」を削除し、単に「解決」と修正した。
協議後の会見で直嶋政調会長は、「53年という長きにわたる問題であるだけに被害者の皆さんも高齢化されている方がいらっしゃる。そういう方々を救済するという意味で地元の皆さんからも与野党で協議してひとつの成果をあげてほしいという声が非常に多かった。その声を受け止めさせていただいて、与党(案と民主党案)と開きはあったができるだけ埋めさせていただきたいということでこの間取り組んできた」と表明。「私どもからすると100点満点とは言えないが患者の皆さんがご心配されていることを含め、かなり与党の皆さんに取り入れていただいてひとつの成果をあげることができたと思っている」と語った。
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