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2009/06/30
民主党の循環型酪農推進小委員会が茨城県水戸市で中間報告案を発表




 『次の内閣』農林水産部門・循環型酪農推進小委員会(座長:郡司彰参議院議員)は30日、茨城県水戸市を訪れ、「森のシェーブル館」のチーズ工房の視察と意見交換を行い、民主党の循環型酪農政策(中間報告案)を発表した。今回の視察には、郡司彰座長、石川知裕事務局長、主濱了、大久保潔重両参議院議員、地元の市・町議らが出席した。

 郡司座長は、「国内で消費されるチーズの8割を輸入に依存しているが、食の西洋化により食生活が変化する中で、乳を飲むことから食べることへと変わらざるを得ない。また、乳用種についてはホルスタイン種が99%を占めており、これまで規模拡大、効率化を前提とする酪農が推進され、それ以外のシステムが考えられてこなかった。今後は、各地域で作ったチーズを食べるという文化を根付かせることが、リタイヤせざるを得なかった酪農家の今後の生きる道になる」と述べ、『飲むことから食べることへ』の乳文化の成熟化による酪農の可能性を示した。

 また、「規模拡大、効率化が一概に悪いわけではなく、それで成功する道があればそれを進めてもらえればよい。今は、多様な酪農の形を、制度そのものが閉ざしたものになっており、その風穴を開けることこそが、これからの酪農の活路になる」と多様な酪農の実現の必要性を訴えた。

 石川事務局長は、輸入飼料に依存した規模拡大による酪農の推進が、食料自給率の低下や所得の減少、牛乳消費の減少などの結果を招いたとの見方を示した上で、「消費者の本物、安全へのニーズを的確に捉え、食料自給率の向上、環境負荷低減に資する循環型酪農を構築するとともに、多様な乳用種の導入を含め、地域の個性を生かした国産牛乳・乳製品の付加価値向上のための『6次産業化』の取組を通じて酪農家の所得向上を図り、多様な酪農経営を実現するため、政策的な後押しを政治としてしっかりとしていく」と述べた。

 また、具体的な施策として、畜産・酪農所得補償制度の導入により安定的な営農を図るとともに、自給飼料基盤の整備として、ブラウンスイス種などの導入等を総合的に進めていくことを説明した。

 主濱了議員からは、「日本は独立国である以上、食料を自前で揃える必要がある。牛乳・乳製品が日本人にとって必要だとするならば、国内でその原料を揃える必要がある。酪農をしっかりと守り、国産のものを使うことで食の安全・安心が確保できる」と牛乳・乳製品における国内供給基盤の構築の重要性を訴えた。

 大久保潔重議員は、「農業は環境負荷低減を図る必要があり、農家の営農活動のためのエネルギーをバイオマス資源により供給することで、循環型のよいコミュニティや営農ができる」と環境に配慮した農業の必要性について述べた。

 出席者からは、「チーズは絞りたての乳を使ったものが一番おいしい。ナチュラルチーズの需要が伸びているので、本物のチーズを広げていきたい。チーズ作りを応援してほしい」といった意見があった。これに対し、郡司座長は「その地域で取れた乳などを原産地としてプライオリティを与えていく。また、チーズについては、ドイツのマイスター制度のように、国が技術や経営感覚を持ち酪農家とのコーディネーターとなる『チーズマイスター』や養成学校の設立などを検討したい」と応じた。

 また、今後の進め方については、「日本では無殺菌牛乳を使ったチーズの製造が認められていないなど、法整備の遅れや、ブラウンスイス種等についての技術の蓄積がないなど課題があるので、法整備と技術実証の面から進めていく」と述べた。
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PDF 民主党の循環型酪農政策(中間報告)案
PDF 民主党の循環型酪農政策(中間報告)案 解説図
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