鳩山由紀夫代表は4日昼、東京都内で開催された「世界経済フォーラムジャパンミーティング」に参加。世界経済フォーラム(ダヴォス会議)の日本オフィス開設に際して「Japan’s Role in the Global Agenda(世界規模の課題における日本の役割)」をテーマに特別演説を行った。
鳩山代表は冒頭、世界経済フォーラムの日本オフィスの開設を祝うとともに、世界経済フォーラムがこれまで果たしてきた意義を称え、民主党政権が発足するこの時期に日本の開設されたことを「大変心強い」と喜びを表した。
先の総選挙については、「米国と同様に日本でも国民がチェンジを求めた。その結果、この国を思う多くの方の思いが結実し『政権交代』が実現した。これは単なる民主党の勝利ではなく日本の民主主義の勝利。これを国民の勝利につなげていくことが民主党のテーマ」と総括。「民主党は日本国民の生活をよくするため、官僚に任せきりのこれまれの政治から政治主導に変えていく」「より能動的な外交をつくりあげることが肝要、それにより初めて政権交代が真の意味で国民の勝利になる」と今後、政権運営に臨む決意を示した。
そのうえで鳩山代表は、「民主党政権は、日本、世界の平和と繁栄のために果たすべき役割を見つめながら前進していかなければならない」と表明。自身が初めて出席した2001年のダボス会議では「市場は自由であればあるほどいい」「規制は少なければ少ないほどいい」という考えが中心であったと振り返るとともに、「市場に任せておけば皆が幸せになれる」とする単純な考え方には問題があると提起した。
「競争は活力の源であるが、その偏重により国民相互、国と地方の格差が拡大、所得の格差が教育の格差を招いている」と続け、「競争には『友愛』が伴わなければ、無政府状態の混乱を招く。市場原理主義一辺倒では政府の役割が出てこない」と指摘。「経済から活力を奪い去ってしまうから社会主義的な平等では解決にならない。『友愛』思想は自由主義の旗の下にある。自由な市場活動と政府が果たすべき役割との間に適度な緊張関係を保つこと、政府による規制と市場とのバランスが重要」だと説いた。
また、「グローバリゼーション、世界的相互依存の深まりには光と影がある。陰の部分をいかに制御し、光をいかに伸ばすことが重要」だと主張し、民主党が掲げる主要政策である「職業訓練制度」「子ども手当」「農業の戸別所得補償制度」にも言及。光を伸ばすにはセーフティネットの構築が重要との認識を示し、「制御の部分に保護主義をもってくるのは間違い。金融規制や気候変動の問題など国単位で動くことは意味をもたない、国際的なルールによる対応が必要」だと強調した。
最後に鳩山代表は、「外交では政治家と官僚、民間とが協力して日本の国益と世界の繁栄のために工夫していかなければならない」と強い意思を表し、講演を締めくくった。
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