平野博文官房長官は1日午前、官邸で定例会見を行い、日銀が同日に発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)で企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でマイナス33となり、6月の前回調査(マイナス48)から15ポイント改善したことへの受け止めとして、「数字的には少し好転しているがまだまだ厳しい状況にあることに変わりはない」との認識を明示した。
「雇用情勢の一層の悪化が懸念されるということで、景気の動向については引続き十分注視していかなければならないと考えている。政府としては、総選挙で約束したように家計に対する支援を重点政策と位置づけ消費の拡大につなげていきたい。とりわけ中小企業や農業、地域にも目配りを十分し景気の回復を図っていきたい」と語った。
同日午後の会見では、閣議前に新型インフルエンザ対策本部の会合が開催されたと報告。さらなる感染拡大が懸念される現状を踏まえ、政府としては的確な対応を行っていくために、基本的対処方針及び新型インフルエンザワクチン接種の基本方針について決定したことを明らかにした。
新型インフルエンザワクチン接種の基本方針について平野官房長官は、当面確保できるワクチン量に限りがあるなかで死亡者や重症者の発生をできる限り減らすという目的に照らして優先摂取対象者を、(1)インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(救急隊員含む)、(2)妊婦および基礎疾患を有する人、(3)1歳から小学校低学年に相当する子ども、(4)1歳未満の子どもの保護者及び優先摂取対象者のうち身体上の理由により予防接種が受けられない人の保護者等――の順にしたとした。
同時に、本年度末までに国内産ワクチンで約2700万人分、輸入ワクチンで約5000万人分を確保し、費用負担としては実費費用を徴収することとするが、ワクチンの優先接種対象者のうち低所得者に対しては国、県、市町村が費用を助成することとした。ワクチン接種は19日から開始され、一回目摂取3600円、2回目2550円で計6150円となると発表した。
さらに、ワクチン接種に伴う健康被害が生じた場合の救済処置がとれるよう、また、輸入ワクチンの使用に伴って生じた健康被害に対して、製造業者に生じた損失を国が補てんできるよう立法措置を講じることとしたと発表。「政府としては今回の決定を踏まえ、新型インフルエンザ対策に全力で取り組んで参りたいと考えている」と語った。
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