三菱UFJ証券デットリサーチ部チーフエコノミストの水野和夫氏が、民主党・新緑風会・国民新・日本の研修会で6日夕、「21世紀は陸と海とのたたかい〜『成長が全てを解決する時代』の終焉」と題して講演した。
このなかで水野氏は、経済成長、16世紀からの時代の終焉を説き、新たなモデルを構築する必要性を強調した。特に、50億人が原油を使う時代、新グローバル時代になった現在、安く仕入れて高く売ることはもうできず、工業化社会が危機に瀕しており、物づくりによる輸出型経済モデルからの転換や、近代の仕組みからの卒業が日本に求められているとした。
原因として、原油価格の上昇を挙げ、1974年の第1次オイルショックから現在に至るまで、物づくりの前提が崩れた結果、アメリカは物づくりを放棄し、金融大国の道を選び、「市場の決定は正しい」とする新自由主義、バブルの物語の時代に入ったこと、日本は新自由主義を取り入れた結果、景気回復局面でも賃金の上昇は見られず、成長が全てを解決し、豊かさを手にすることができる時代は終焉したとした。
さらに、昨年9月のリーマンショックによって金融大国の神話も崩壊したこと、1974年に先進国の粗鋼消費量はピークを迎えたこと、人口、資源の埋蔵量からしても、これからの成長の中心はユーラシア大陸の中心部にならざるを得ず、大英帝国の時代から続いた海の国家(アメリカも日本も海の国家)の時代も終わりを迎えつつあるとした。
その象徴として、2001年の9月11日のテロがあり、それは、新たな陸と海のたたかいの始まりを告げたものであるとした。
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