参議院予算委員会で9日午後、総括質疑が行われ、民主党・新緑風会・国民新・日本の島田智哉子議員が質問に立ち、子育て支援、新型インフルエンザ対策、障害者支援のあり方等に関して、鳩山由紀夫総理大臣(代表)はじめ、菅直人副総理・国家戦略担当大臣、長妻厚労大臣、原口一博総務大臣ら関係大臣に質した。
島田議員はまず、鳩山総理の友愛政治について質し、鳩山総理は「友愛は『自立』と『共生』のかけ橋であり、政治は弱者、少数者のためにある」との認識を説明。それをもとに、子育て支援についての政策課題を菅副総理に質した。
菅副総理は「子育て・教育は、『コンクリートから人へ』という財政構造の大改革という形でスタートしている。日本の人口は減少に転じているが、本来は20年くらい前から、もっと子育ての部分に財政構造を変更していなければならなかった。しかし、遅くなったからといってスタートしないわけにはいかない。まずは子どもが育ちやすい環境をつくるために、子育て支援、保育所の充実などに力を入れていかなければならない。子育て、環境、雇用の3つの要素を、今後の財政運営の柱に据える」と答弁した。
続いて島田議員は長妻厚労大臣に、新型インフルエンザ対策について、現状における自治体の対応について説明を求めた。
長妻大臣は、先週金曜日に各自治体に対し、ワクチンの接種について、基礎疾患をもつ中学3年生までと、健康であっても1歳から小学3年生までの接種を優先するよう要請したことを明らかにし、ワクチンの在庫の問題もあるため、現状を把握してその都度真摯に対応していきたいとした。
島田議員はまた、学校での感染対策の重要性を指摘し、川端文部科学大臣に見解を質した。
川端大臣は、「予防と感染拡大防止として、手洗いとうがいの励行、マスクの着用、早期の受診治療、咳(をするときの)エチケット等、教育委員会に対し現場に繰り返し徹底するよう通知。また、学級閉鎖の基準を弾力的に運用していくよう徹底している」と答弁。そのうえで、受験シーズンが間近であることにも言及し、「センター試験の追試は、2週間の間をおいて全国各地でできるようにする。加えて、私学に対しても受験生の利益を第一に考えてもらえるようお願いしている」と述べた。
さらに島田議員は、新型インフルエンザの予防接種に関して、その副作用など、健康被害の正確な情報をスピーディに国民に提供することが必要であると指摘し、長妻厚労大臣は「国内産ワクチンの副作用は季節性と同程度であり、既に接種した2万例に関しての副作用は季節性と同様に発熱等であり、生命に重大な影響を与える報告はなかった」と説明。そのうえで、健康被害が生じた際の救済法案については、閣議決定を経て国会に提出したと報告した。
これに関連して、島田議員は現行の予防接種に関する健康被害の救済手続きは、複雑で審査時間がかかりすぎることを指摘。仮に否認する場合であっても、保護者に対して十分な説明をし、主治医の意見を聴くなど、納得してもらえるよう最大限の対応が必要であるが、現状の行政対応は全く配慮されていないとして、ポリオ予防接種の健康被害を否認された保護者からの手紙を読み上げた。
これに対して長妻大臣は、「行政の機械的対応を、責任者として申し訳なく思っている」と謝罪し、鳩山総理も「行政の在り方に大きな問題があったと感じた。健康被害が起きたときは、できる限り丁寧な対応をすべきだ。愛情のない対応を改めなければならない」として、現状把握の上で議論を徹底していくと述べた。
その他、島田議員は障害者の就労支援対策や周産期医療再建を含む医療制度の改革について、各大臣に見解を質して質問を終えた。
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