参議院比例区への非拘束名簿方式導入などを盛り込んだ公職選挙法改正案を審議する衆議院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会(倫選特)が23、24日の両日開かれ、民主党の4議員が、非拘束名簿式の問題点を追及した。
23日の審議では堀込征雄、佐藤観樹両議員が質問。堀込議員はまず「参院での強行的なやり方は、憲政史上初めての暴挙だ」と、法案成立を急ぐ与党の姿勢を厳しく批判。第8次選挙制度審議会の答申に基づいた法案だとする与党側提出者の説明に、「答申で都合のいいところだけ取り出している。参議院の改革の発想が感じられず、党利党略にすぎない」と指摘した。
さらに堀込議員は、「自民党の長期低落傾向、党勢挽回のためのためではないか」と迫ったのに対し、法案提出者の片山虎之助参院議員(自民)は、「参議院では党より人の要素が強い制度を作る。どこが有利かはやってみなければわからない」などと反論。ところが、「(得票増を目指して)主要政党全部が限度いっぱいの48人候補者を立てれば、400人近い候補者数になる。これで、わかりやすい制度・顔の見える選挙にはならない」と堀込議員がさらに追及すると、片山議員は一転して「この制度はまず政党を選び、それから人を選ぶものだ。全国区とは違う」などと強弁。「法案にはそんなことは書いていない」と堀込議員は反発した。
また、「個人の得票を政党投票とする仕組みでは仮に自分の得票がゼロ、政党得票がゼロでも、別の候補が大量得票すれば当選する。これは憲法43条の『選挙された議員』に反しないか」と、いわゆる票の横流し問題を堀込議員は追及したが、与党側の答弁は「個人名を書くことは同時に政党を選ぶことでもある」とのこじつけを繰り返すばかりだった。
さらに「一番得票の多い候補者が連座制などで当選無効になった場合、(その得票が政党の議席獲得に反映されることに)国民の納得が得られるか」と疑問を呈したのに対し、提出者の魚住裕一郎参院議員(公明)は、「非拘束名簿式は、政党への票を合算する制度。個人名投票は名簿届け出制党への投票と考える」との説明を繰り返すばかりだった。
続いて質問に立った佐藤観樹議員は「(非拘束名簿式は)運動論的に見ると全国区に戻るに等しい。多額の選挙費用がかかる。どうやって金権批判をしのいでいくのか」と指摘。片山提出者は「党に選挙運動の相当部分を担わせなければならない。政見放送や、新聞広告、選挙公報も党がやる。いまは金をかけてむちゃくちゃな選挙をやっても国民の共感は得られない」と説明したが、佐藤議員は「現実には個人の選挙をやらねばならない。そんなきれいごとでは済まない」「制度的に保障することが何もない」と懸念を示した。
また、佐藤議員が「82年に全国区制を比例代表に変更した理由は、参院を芸能院・タレント院にしないためと言われた。その点で非拘束名簿式はいかがな制度かと思う」と、自民党の狙いを見透かして追及したのに対し、片山提出者は「有名人といってもいろいろある。実力のある人なら歓迎だ。人気タレントばかり出そうとする政党はだんだん淘汰されると思う」と開き直った。
さらに、「個人名で書かれた票を別の候補者に移すことになる制度はおかしい」と佐藤議員が批判したが、提出者は「比例代表制はそういう制度だ」と繰り返し、制度そのものの矛盾点には目を背けるばかりだった。
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